2016年07月07日

サヴァリッシュの芸術8枚組


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私達はある曲が演奏される時、その曲目が良く知られていればいるほど演奏者の個性に興味を示す傾向がある。

確かに個性豊かな演奏はしばしば魅力的だが、作曲家の書いた原点に注目する場合、その個性が枷になってしまうことも往々にしてあることを忘れてはならないだろう。

サヴァリッシュの演奏は大見得を切るような個性や斬新な解釈などには殆んど無関心のように思える。

しかし作品と演奏の間には、あえて言うならば黄金比のような絶妙なバランスが常に保たれていて、しかもきめ細かな創意工夫が随所に聴かれる。

彼はその再現に徹するだけで全く恣意的な意図は感じられない。

こうした指揮者としての姿勢を貫くにはそれを裏付けるだけの作品への深い見識と豊富な経験が不可欠だろう。

例えばブラームスの第1番の冒頭は音量ではなく、音響のバランスでその荘重さを見事に感知させている。

この演奏を聴くまで筆者はこの曲の始まりの部分が、余りにも不釣合いなこけおどしのようで好きになれなかったが、サヴァリッシュがブラームスの考えていた楽想を代弁してくれたという気持ちになった経験がある。

EMIにもかなりの量の録音を遺したサヴァリッシュだが、先だってEMIコリアからその全集が彼の追悼盤としてリリースされた。

一方こちらのイコン・シリーズはベートーヴェンとブラームスの交響曲全曲を中心としたより簡易な8枚組で、サヴァリッシュの誠実で安定した至芸をロイヤル・コンセルトヘボウとロンドン・フィルの2つの名オーケストラで鑑賞できるセットとしてお薦めしたい。

ブラームスに関しては全曲セッション録音だが、ベートーヴェンでは交響曲第8番及び第9番の2曲がライヴから採られている。

サヴァリッシュらしくどの曲にも精緻な采配が行き届いているが、決してそれがスケールの小さい神経質なものにならず、また情熱にも不足していない。

ライヴで見た彼の指揮はオーケストラの団員に細かく指示を出す冷静かつ実質的なもので、決して抽象的な仕草をすることがなかったのも印象に残っている。

その指揮法は最年少指揮者としてバイロイトに登場したワーグナーのスペシャリストとしては意外かもしれないが、実際には大編成の楽劇ともなれば注意深く八方に目を配らなければならない実務的な必然性から、こうした統率力が培われたのかも知れない。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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