2016年07月11日

バルトレッティのロッシーニ:歌劇『どろぼうかささぎ』[DVD]


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数多くの喜歌劇で生前大衆的な栄光をほしいままにしたロッシーニの作品の中ではオペラ・セミ・セーリアに分類される新しいタイプのオペラが『どろぼうかささぎ』である。

幕切れはハッピーエンドの大団円で締めくくられるが、劇中では登場人物の感情の悲喜こもごもや手に汗握るスリルに満ちた場面が展開されて、伏線を敷いた筋立てと意外な結末がそれまでの滑稽一辺倒のオペラ・ブッファとはかなり趣を異にしている。

長い作品でしかも主役級の5人に高度な歌唱と演技力が求められるために他のロッシーニのオペラに比較すると上演回数はそれほど多くない。

しかしスネアドラムのトレモロで開始される良く知られた大規模な序曲に続くソロ、アンサンブル、コーラスの饗宴とクレッシェンド、アッチェレランドの追い込みは、ロッシーニ節を満喫できる優れた作品のひとつであることに違いない。

題材は当時流行した救済物で、高邁な精神を掲げたベートーヴェンの『フィデリオ』と比べれば他愛のない牧歌劇だが、当時のウィーンで起きたドイツ、イタリア・オペラ優劣論争が異なった民族性や趣味と表裏一体だったことを示す作品だ。

このDVDは1987年にケルン歌劇場で収録されたライヴで、プリマ・ドンナ、イレアーナ・コトルバスを始めとする個性的で芸達者な歌手達が織り成す舞台の面白さが良く映し出されている。

ロッシーニの作品なので登場人物全員にアジリタと呼ばれる速いパッセージを歌う技巧が要求されるが、コトルバスは流石にコロラトゥーラのテクニックにも優れヒロイン、ニネッタを可憐に、しかしある時はドラマティックに演じている。

若い軍人でニネッタのフィアンセ、ジャンネット役のテノール、デイヴィッド・クリューブラーはデトロイト生まれで、やや年下のロックウェル・ブレイクと共にアメリカ人テノールとしては融通の利く器用な人材だった。

狂言回しに当たる少年ピッポ役エレナ・ツィーリオのすばしっこい身のこなしや豪農夫婦に扮するカルロス・フェレルとヌッチ・コンド、また代官役のアルベルト・リナルディの性格俳優的な声と演技も堂に入っている。

ミヒャエル・ハンペの演出は無理のないクラシックな舞台で、このオペラには相応なシンプルさが見どころになっている。

収録時間はカーテン・コールを含めて182分になる。

ブルーノ・バルトレッティ指揮、ギュルツェニヒ・ケルン管弦楽団及びケルン歌劇場合唱団による演奏で、イタリア・オペラを熟知したバルトレッティによる巧みな統率も職人技だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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