2016年07月13日
仏ディアパソン編集によるレオンハルト演奏集
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仏ディアパソンによる編集で昨年リリースされた『17世紀のクラヴサンとオルガン』と題したグスタフ・レオンハルトの3枚組のアルバムで、音源はソニー・クラシカルが中心になっている。
録音は彼の初期のもので、例えばCD1フローベルガー作品集は1962年、彼が33歳の時のセッションで1640年製のルッカースの小型チェンバロを弾いている。
その他の曲も1968年及び79年に収録されているが、いずれもヒストリカル楽器を使っていてこの内ハインリヒ・シャイデマン、ニコラウス・ブルーンズ、ゲオルク・ベームの数曲はハンブルク聖ヤコビ教会に設置されたアルプ・シュニットガーのオルガン演奏になる。
レオンハルトは早くからヒストリカル楽器に拘っていて、自身歴史的チェンバロのコレクターでもあったが、古楽黎明期にあって博物館の調度品に成り下がっていた古楽器を修復して実際の演奏に供するにはかなりの困難があったと思われる。
また失われてしまった奏法や音律を再構築したり手稿譜の校正に関わる知識の習得などの努力は想像に難くない。
しかし彼は当時普及していたモダン・チェンバロには懐疑的で、常にオリジナルの響きとそこから自ずと生まれ出る独自の表現を開拓する道を選んだ。
この3枚のセットにその研究の成果が示されていると言って良いだろう。
CD2はフランソワ・クープランの伯父ルイ・クープランの3曲の組曲を中心にジャン=アンリ・ダングルベールとマティアス・ベックマンのクラヴサンのための作品を収録しているが、こうしたプログラムも資料として貴重なだけでなく、往時の響きをイメージすることができる最良のサンプルである。
CD3は文字通り17世紀にヨーロッパ各地で活躍した鍵盤音楽の作曲家たちのオン・パレードである。
英国ではトマス・トムキンス、ジョン・ブル、ウィリアム・バード、オルランド・ギボンズ、ジャイルズ・ファーナビー、イタリアではジョヴァンニ・マリア・トラバーチ、ジローラモ・フレスコバルディ、ミケランジェロ・ロッシそしてベルナルド・パスクィーニの作品がチェンバロとオルガンによって再現されている。
低いレベルでノイズが混入しているトラックもあるが音質は概ね良好。
ディアパソンが独自に編集したCDは厳選された演奏が鑑賞者の選択肢として良いサジェスチョンを提供してくれるが、装丁の方はどれも合理性が優先されていて、音楽以外のことにはそれほど頓着しない傾向がある。
このセットは5面開きのデジパックだが、独立したライナー・ノーツは付いておらず、収録曲目の他はわずか1面にレオンハルトと17世紀の鍵盤音楽についてのコメントが記載されているのみだ。
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