2016年07月27日
ヨッフムのブルックナー:宗教作品集
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2回の交響曲全集を完成させたブルックナーの権威、オイゲン・ヨッフムはドイツ・グラモフォンにCD4枚分の宗教作品集を録音していて、それらはこれまで別売りのCDでしか入手できなかったので、今回ザ・コレクターズ・エディションとして15曲がまとめられて廉価盤化されたことは歓迎したい。
ただしヨッフムのコンプリート録音集が欲しい方にはグラモフォンによる全集の新企画があり、9月に第1集のオーケストラル・ワーク集42枚組がリリースされる。
この4枚は第2集以降に組み込まれることが予想されるので、そちらの購入をお薦めしたい。
第1回目のブルックナーの交響曲全集がベルリン・フィルとバイエルン放送交響楽団による合作だったように、この宗教曲集も同様でコーラスもバイエルン放送合唱団及びベルリン・ドイツ・オペラ合唱団が参加している。
ヨッフム・ファンにとっては勿論EMIのイコン・シリーズ22枚も重要なコレクションだが、そちらにはシュターツカペレ・ドレスデンとの2回目の交響曲全集が入っているが宗教曲は収録されていない。
これはヨッフムの偉大な遺産のひとつで、ブルックナーの宗教合唱作品を集め、これだけ充実した演奏を聴かせた指揮者はいない。
荘厳だがむやみに曲のスケール感を強調しないヨッフムらしい折り目正しい几帳面なアプローチによる演奏は、かえってこれらの宗教曲としての側面を明確に示す結果になり、敬虔なカトリック教徒だったブルックナーの音楽的意図が生かされていると言えないだろうか。
ソロを歌う声楽家もソプラノのエディット・マティスを始めとする宗教曲に相応しい布陣で、ヨッフムのアイデアが忠実に反映されている。
3つのミサ曲はそれぞれ立派だが、ことに第3番には、この強固な構築力を超える若手の指揮者が今後出るとは思えないほどの迫真力があり、「テ・デウム」の壮大さ、「パンジェ・リング」の神秘など、いずれも名演揃いだ。
尚現在までにリリースされたブルックナーの宗教作品のCDとしては、一流どころの指揮者の演奏はそれほど多くなくチェリビダッケ、バレンボイム、リリング盤などがめぼしいところで、最近ではスティーヴン・レイトンがポリフォニー・ブリテン・シンフォニアを振ったミサ曲第2番を中心とする合唱曲集が選択肢として有力候補に挙げられるが、残念ながらいずれも体系的な企画ではなく単発のCDで終わっている。
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