2016年07月31日

リヒテル/グラモフォン総集編


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



1957年から65年までにリリースされたアナログ音源のLPレコード9枚を、曲目の編集を加えずにそのまま9枚のCDに復刻したもので、その結果当然容量の違いからCDではある程度余白が生じているが、リマスタリングのためかこの時代の音源の音質としては概ね良好だ。

収録曲目と録音データについては幸いこのアマゾンのページに詳細が示されているので、そちらを参考にされたい。

尚最後の2枚は1962年のイタリア・ツアーからのライヴ録音で、詳細は書かれていないが、この年の11月にリヒテルがパレルモ、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアで開いたコンサートからピックアップされたもので、ライヴ特有の雑音や、聴衆の頻繁な咳払いなどがいくらか煩わしいが、いずれもリヒテルの演奏の特質がかえって良く表れた充実した内容を持っている。

バッハの『平均律』は僅か5曲しか収録されていないが、既に彼の多彩な表現力が縦横に発揮されていて、後の全曲録音にも匹敵する出色の出来だと思う。

リヒテルは基本的にライヴ演奏に賭けた人で、彼の本領もいきおいライヴで発揮されていることが多い。

採り直しやつぎはぎが可能なセッションでは本来の一貫した音楽性が失われてしまうということを彼自身充分心得ていたし、それがセッションに対する彼の懸念でもあった筈だ。

しかしそれほど多くないセッション録音の中でもこのセットには彼の壮年期を代表するものが少なくない。

例えば協奏曲ではカラヤン、ウィーン交響楽団とのチャイコフスキーもそのひとつに挙げられる。

リヒテルとカラヤンの相性はそれほど良かったとは言えないし、その原因はこの曲の録音時にアインザッツを要求したリヒテルにカラヤンが応じなかったことに発するようだが、2人の間の亀裂が決定的になったのはEMIに入れた『トリプル・コンチェルト』の時らしい。

しかしここでは両者の主張がお互いに損なわれることなく両立して華麗な効果を上げているところは高く評価したい。

またベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番では前作の2曲に比べてドラマティックで深みのある曲想を、ザンデルリンクが手堅く再現しながら、古典派の音楽としての節度を保ってソロをサポートしている。

一方リヒテルは抑制を効かせたきめの細かいコントロールが傑出していて、第2楽章の静謐な抒情も極めて美しい。

尚『ピアノとオーケストラのためのロンド変ロ長調』はコンドラシン盤が手に入らない現在では、このザンデルリンク、ウィーン交響楽団盤が殆んどリヒテル唯一のセッションになる。

それぞれのジャケットはオリジナル・デザインのミニチュアで、裏面にも当時の解説が印刷されている。

ライナー・ノーツは32ページで、やはりオリジナルLPジャケットの写真入で、英、独、仏語の解説付。

バジェット価格ということもあり、演奏の質の高さは勿論レパートリーの豊富さでも満足のいくもので、EMIのイコンと並んでリヒテル・ファンには欠かせないコレクションになるだろう。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:56コメント(0)トラックバック(0)リヒテル  

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ