2016年08月04日

ヴォルフガング・サヴァリッシュの芸術〜デッカ・レコーディングス


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本BOXには、主に1960年代の若き日のサヴァリッシュの録音が14枚収録されている。

ブラームスの『ドイツ・レクイエム』を聴いて先ず感じることは、サヴァリッシュの指揮は自然に聴衆を引き込んで、心に沁みこんでくるような優しさと平易な音楽作りにあることだ。

それは彼が常に聴き手に分かり易い明晰な音楽の再現を心掛けるという真摯で理知的な姿勢を貫いたからだろう。

メンデルスゾーンの『エリア』にも言えることだが、ソリストを始めオーケストラやコーラスへの行き届いた統率力も見事で、洗練を極めながらクライマックスへの盛り上げでは壮麗な美しさを湛えている。

またハイドンでの屈託のない喜遊性の表出やメンデルスゾーンの交響曲で聴かせるダイナミズムの模範とも思える指揮法は、単なる描写的な音楽に堕しない普遍的な高い音楽性を示している。

一方シューベルトやブラームスの整然とした秩序の中に秘めるロマンティシズムには、やはりドイツ系の音楽としての明確なスタイルが感じられるが、全オーケストラの総奏部分では思い切った劇的な表現が試みられていて、鑑賞する側に音楽の本来の歓びを提供することを忘れなかった指揮者としての存在感は大きい。

サヴァリッシュは若い頃からの豊富な舞台音楽の経験から、歌物でも無類の実力を発揮している。

ライナー・ノーツによれば彼はバイエルン国立歌劇場のカペルマイスターだった1971年から92年までの間に1200回の演奏会をこなしていて、中でもワーグナーの『ニーベルングの指環』全曲上演は32回に上るという恐るべきキャリアを積んでいる。

そのほかにもリヒャルト・シュトラウスのオペラ全曲上演を果たしているのも周知の通りで、勿論コンサート指揮者としてもスイス・ロマンド管弦楽団、ウィーン交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団などの首席を歴任しているし、N響桂冠名誉指揮者として日本の楽壇への重要な貢献者でもある。

それに加えて彼はピアノ奏者としてシュヴァルツコップやフィッシャー=ディースカウ、プライやシュライヤーなどの伴奏や、室内楽の共演者としておよそ信じられないくらいの八面六臂の活躍が記憶に新しい。

その意味では自己のポリシーを着実に実践に移し得た、良い意味での職人気質も持ち合わせていたと言えるだろう。

強い個性で勝負するアーティストが多い中にあって、サヴァリッシュは音楽家の王道を歩んだ人で、彼の他界を惜しむ者の一人として、改めて心から追悼の意を表したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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