2016年08月10日

ピリオド楽器によるモーツァルト:協奏曲集


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この5枚組セットは、最後のホルン協奏曲集のみが1992年から93年にかけての比較的新しいセッションで、ブルーノ・ヴァイル指揮、アブ・コスターのソロ、そしてカナダのピリオド楽器使用の室内アンサンブル、ターフェルムジーク・バロック・オーケストラの演奏だが、それ以外の4枚は総て1970年代初頭に録音されたフランス・ブリュッヘン指揮、アムステルダム・モーツァルト・アンサンブルの協演になる。

一連のソニー・ヴィヴァルテ廉価盤セット物のひとつで、ピリオド楽器による演奏の歴史を辿る上ではそれぞれが一時代を画したものであることには違いないし、この頃のブリュッヘンの芸風を振り返って鑑賞するのも一興だ。

強いて難点を挙げるなら、CD3−4でのトラヴェルソのソロ・パートを受け持つフランス・フェスターの奏法が他の協演者に比べて浮いてしまっている。

これらの曲が録音された1971年から72年といえば古楽復興の黎明期でもあり、まだ古楽器奏法の基礎も確立されておらず、演奏者たちが手探りの状態で研究していた時期であっただろう。

それゆえフェスターの演奏は過渡的な解釈として貴重なサンプルかも知れないが、今改めて聴き直してみると、そのヴィブラートを不断にかけたロマン派的フレージングはいかにも不自然だ。

それがかえってトラヴェルソを使っているだけに中途半端で耳障りな印象を与えているのが残念だ。

彼は学者としてはユニークな研究者で、その著書のひとつ『18世紀のフルート音楽』は笛のための古いレパートリーを調べるときに重宝している。

しかしこのセッションに関してはもはや過去のもので、より徹底したピリオド奏法を習得した他の奏者の演奏を聴くことが望ましい。

一方ヴァイオリン協奏曲集はヤープ・シュレーダーの瑞々しいソロに好感が持てる。

奏法も現在普及しているピリオド奏法にかなり近いもので、違和感なく概ね納得できるものだし、古典派的な節度と形式感も良く表現されている。

また彼を支えているアムステルダム・モーツァルト・アンサンブルのメンバーにはシギスヴァルト・クイケンを始めとする当時の精鋭が参加しているのも頼もしい。

しかしこのセットのセールス・ポイントは何と言ってもホルン協奏曲集だろう。

録音年代も一番新しく、またそれだけに良好な音質で鑑賞できるが、特にナチュラル・ホルンを巧みに演奏するコスターの至芸が聴きどころだ。

当然モーツァルトの時代のホルンはバルブ操作の機能が付いていない、管を巻いただけの楽器だったが、ここで頻繁に聴かれるゲシュトップの音はその奏法の複雑さが窺われて興味深い。

ナチュラル・ホルンを使ったモーツァルトの演奏例自体それほど多くなく、また音楽的にも洗練された模範的なセッションだ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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