2016年08月14日
ガーシュウィン・コレクション
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ガーシュウィンのまとまった作品集としては初めての7枚組のボックス・セットで、演奏の質が高く音質にも恵まれているので、クラシック・ファンに限らず幅広い層の人にお薦めしたい。
また彼のオペラ『ポーギーとベス』も1975年のロリン・マゼール指揮、クリーヴランド管弦楽団とソプラノ、バーバラ・ヘンドリクス他の当時考えられた最良のキャストで、後半3枚のCDに全曲組み入れてある。
『ラプソディー・イン・ブルー』はグローフェの手になる大編成のオーケストレーションで、ソロ・ピアノのパートをラベック姉妹が連弾で弾くという豪華版だ。
指揮はリッカルド・シャイー、クリーヴランド管弦楽団だが同じメンバーによる『キューバ序曲』ではボンゴを始めとするパーカッション群をもっと前面に出してビッグ・バンド的な羽目を外した熱狂が欲しかった。
オーケストラのバランスが完璧すぎて、かなりクラシックに傾いた表現と言える。
2枚目のアーサー・フィードラー指揮、ボストン・ポップスによるメドレーは、一世を風靡しただけあって、移民時代の底抜けに快活でパワフルなアメリカを髣髴とさせる演奏で、如何にもハッピーな雰囲気はBGMとしても、またダンス用の音楽としても利用価値があるだろう。
ピアノ協奏曲ヘ長調はペーター・ヤブロンスキーのソロ、アシュケナージ指揮、ロイヤル・フィルハーモニーの1991年のセッションになる。
アシュケナージにしてはかなり大胆な音楽作りで、豪快なソロを盛り立てた熱演だが、第2楽章でのリリカルな音楽性は彼ならではの魅力がある。
CD3−4にはミュージカルからのソング集やそれに付随するオーケストラ・ピースが収められている。
尚ブックレットは24ページで曲目紹介、録音データの他に英、仏、独語の簡易な解説付。
オペラ『ポーギーとベス』についてはリブレットは付いていないが各CDのトラックを辿りながら劇のあらすじが紹介されているのは親切だ。
ガーシュウィンの音楽には、自身名も無いユダヤ系移民として自らの才能ひとつで幸運を掴んでいったしたたかさのようなものがある。
彼の音楽には天衣無縫の自由闊達さがあり、恐ろしく天真爛漫なところが魅力だが、クラシックの管弦楽法を独学で学んだ努力家でもあった。
後年の作品のオーケストレーションは彼自身のオリジナルだが、確かにモーリス・ラヴェルの影響は無視できないだろう。
1928年3月8日に53歳を迎えたこのフランスの大作曲家の誕生祝賀パーティーがニューヨークで開かれた時、教えを請ったガーシュウィンに「二流のラヴェルよりも一流のガーシュウィンでいたまえ」と応じたラヴェルの逸話は伝説的に伝えられている。
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