2016年08月16日

デュ・プレ没後25周年記念廉価盤BOX


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この17枚組の全集は2007年にEMIが限定盤としてリリースしたもので、その後製造中止になっていたが、デュ・プレの没後25周年を記念して廉価盤化での復活になる。

ただし前回入っていなかったJ.S.バッハの『ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタト長調』BWV1028の2つの楽章がロナルド・キンロック・アンダーソンのオブリガート・チェンバロで加わっている。

彼女のキャリアは正味12年間ほどで、既に28歳の時には不治の病のために演奏活動を断念しなければならなかった。

このために円熟期を迎えることができなかった恨みは残るとしても、その若さに相応しい強い感性に支えられた演奏は不滅の輝きを持っている。

彼女はチェロの演奏に没頭しながら短い人生を駆け抜けるように生きたし、またその演奏もひたむきなまでに情熱的だ。

曲によってはもう少し醒めたところがあってもいいと思うものもあるが、ここに収められた曲集では既に彼女が誰にも真似のできない独自の芸術的な域に達していたことを察するに余りある。

入門者のためにはこのコンプリート・エディションと同時にリリースされたザ・サウンド・オヴ・ジャクリーヌ・デュ・プレと題した4枚組の方をお勧めする。

ただし例によって楽章単位の編集になるので、さしづめ試聴サンプラー盤といったところだ。

デュ・プレの演奏の特徴は、天性の鋭い感性で曲想を楽譜から直感的に読み取っていくところにあり、それは時間をかけた試行錯誤を繰り返して入念な解釈を見出すことが許されなかった彼女に与えられた最高の武器だったに違いない。

それだけに情念が燃え上がるような曲趣のシューマン、ドヴォルザーク、エルガーなどでは何かに憑かれたような濃密な表現だし、また同じドヴォルザークやディーリアスでの緩徐楽章で聴かせる全神経を集中させたカンタービレの美しさも真骨頂だ。

彼女によって宝石のように磨かれた小品もまた魅力的だ。

例えばデュシュキンの『シシリエンヌ』、フォーレの『エレジー』そしてサン=サーンスの『白鳥』、ブルッフの『コル・ニドライ』などは音楽的にも極めて高い価値を持っている。

尚『コル・ニドライ』に関しては1962年のジェラルド・ムーアのピアノ伴奏版と1968年のバレンボイム指揮、イスラエル・フィルとのオーケストラ版を聴き比べることができる。

音質は新しいリマスタリングによって改善されているものもあるが、旧セットと大差はなく概ね良好だ。

このセットでは彼女にとって最初の録音になるヘンデルの『ソナタト短調』が1961年、そして1973年のライヴ、ラロの『チェロ協奏曲ニ短調』が事実上最後の曲目になっているので、時代相応の音質と言うべきだろう。

ボックスのサイズは13X13X厚み6cm弱で横に引き出すタイプ。

35ページのブックレットはセピア色で曲目紹介、録音データの他に彼女のスナップ5葉と英、独、仏語による年代別の簡単なキャリアが掲載されている。

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classicalmusic at 00:32コメント(0)トラックバック(0)デュ・プレ  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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