2016年08月20日

モリナーリ=プラデッリのヴェルディ:歌劇《運命の力》


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イタリア・オペラの録音史上燦然と輝く作品と言えば、この『運命の力』とデ・サーバタの指揮した『トスカ』、それにカラヤン、テバルディ、デル・モナコの『オテロ』を挙げないわけにはいかないだろう。

この録音は1955年で歌手達はキャリアの全盛期にあった。

初期ステレオ録音としてはEMIなどに比べるとデッカの方が音質に優り、またこれだけの歌手と専属契約を結んでいたレコード会社ならではの豪華キャストと言える。

伝統的には、イタリアオペラに求められる最も重要な要素は、舞台上で美声の歌手がスタイリッシュな歌唱を披露することで、それぞれのシーンの整合性や物語としての説得力などは、聴衆もそれほど真剣に求めていなかった。

指揮者の役割は歌手達の持っている能力を最大限引き出すことで、彼らを統率することではなかった筈だ。

少なくとも1960年代くらいまでイタリア・オペラの世界では指揮者も演出家も歌そのものに如何に奉仕するかにオペラ上演の命運が懸かっていた。

その真っ只中の時期にこの『運命の力』の録音が重なっているのも偶然ではない。

指揮者モリナーリ=プラデッリは、そのあたりを熟知していた人で、幸運にもこの時代には滅多に出ないようなスケールの大きい歌手が揃っていた。

この6人の主役級の歌手についてはオペラ・ファンであれば誰でもご存知なので言及しないが、彼らは声だけで役柄の総てを演じることができた。

しかし一方でわがままでもあった彼らを、巧く取りまとめる指揮者の手腕が必要で、この時期の指揮者には歌手の生理的条件から、大袈裟に言えば心理状態までを知ることが必須の条件だった。

そうしたオペラ制作が許された幸福な時代に、まさにオペラ黄金期の声の饗宴が実現したのである。

歌手を将棋の駒のように使いこなして、オーケストラに比重をかけ、物語の必然性や作品全体としてのより文学的、あるいは音楽的価値を追究する傾向はクラウディオ・アバドやリッカルド・ムーティ以降イタリア・オペラの世界でも一般的だが、この『運命の力』は純粋な声の威力が最後の砦を守っていた頃の記録としても聴き継がれるべき価値を持っている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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