2016年08月21日

ギレリス 1964年シアトル・リサイタル


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今年はエミール・ギレリス生誕100周年に当たることから、既にグラモフォンやRCAを中心とする幾つかのメーカーから彼のセッション、ライヴ盤が復活している。

このCDのセールス・ポイントは総てが初出音源ということで、先に同じグラモフォンからリリースされたコンプリート・レコーディング集にも入っていないし、ギレリス48歳の覇気に満ちたライヴが聴きどころと言える。

しかしながら、モノラル録音の上にオフ・マイク気味の狭い音場が臨場感を妨げていて、分厚い和音の後ではメロディーが濁って細部が聴き取りにくくなる採音状態も理想的とは言えない。

また拍手以外にもライヴの宿命で客席からの咳払いなどの雑音も若干混入している。

1964年12月6日にワシントン州シアトルのオペラ・ハウスで開かれた一晩のコンサートから録音されたもので、プログラムの曲目のメインはベートーヴェンの『ワルトシュタイン』及びプロコフィエフのソナタ第3番だがほぼ半分がロシアの作曲家の作品で構成されている。

ギレリスはセッションとライヴではかなり異なった演奏を遺している。

それは彼に遅れて1960年にカーネギー・ホールでアメリカ・デビューを果たした当時のリヒテルにも共通するところだが、ギレリスはライヴとなると驚くほどエキサイティングな表現をする。

それが鋼鉄のタッチの異名に甘んじた理由なのだろうが、実際には彼の演奏は力任せの強引なものではないし、ショパンやドビュッシーでは非常に豊かで繊細な音楽性を披露している。

一方でストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』からの「ロシアの踊り」で聞かれるように、彼は時としてミスタッチもものともせず獅子のように猛進する性格を秘めている。

だが決して硬直した演奏ではなく、例えばプロコフィエフのソナタではその弾力的で柔軟な曲想の展開が良く示されていて、当時のアメリカの聴衆にとってはこうした作品を鑑賞することが極めて新鮮な体験であったに違いない。

尚このコンサートでは彼が初演した第8番ではなく第3番を採り上げている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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