2016年08月30日

ギュンター・ヴァント/グレイト・レコーディングス


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このセットでは総ての録音がヴァントの古巣だったケルン放送交響楽団と北ドイツ放送交響楽団との、いわゆる旧盤のみが選出されていて、60代から80代にかけてのヴァントの殆んど完成された至芸を堪能できる。

彼は最晩年に欧米のメジャー・オーケストラに客演するようになったが、やはり彼の仕事の基本はこの2つのとオーケストラに集約されているとみなすことができるだろう。

彼の指揮には万人受けを狙ったところは少しも無く、どちらかと言えばクラシック・マニアの耳を満足させるような入念で周到な音楽作りが特徴だが、入門者のファースト・チョイスとしても決して悪くない。

何故ならクラシック鑑賞のための基本的な音楽語法の伝達が明快で、それが時間をかけて練り上げられたオーケストラから響いてくるという至福を享受できるからだ。

この方法は特にドイツ物で最高の威力を発揮する。

28枚のCD中24枚までがドイツ系の音楽で占められているのもこうした理由に他ならない。

ボーナスDVDの音声は勿論ドイツ語だが、字幕スーパーは日本語と英語が選択可能。

内容は2部から構成されていて、第1部は彼の生涯とその音楽を追ったもので、一般に彼は客演嫌いだったと言われているが、実際には戦後の一時期フランスや当時のソヴィエト各地で盛んに客演している。

その頃既に30枚ものLPを出していたというのも意外な逸話だ。

しかしやがて演奏旅行の足は滞ってしまう。

最晩年の国際的な活動は別として、それまでヨーロッパでは彼の実力がそれほど評価されていなかったのが実情だ。

彼の稽古に立ち会った指揮者ケント・ナガノは「芸術と妥協は相容れないものだ。それを実践していたのがヴァントだった」と語り、彼のシビアな稽古を回想している。

ここでは暗譜で指揮台に立つヴァントの映像も幾つか見られる。

第2部は「最後のインタビュー」と題して評論家のヴォルフガング・ザイフェルトが、晩年の巨匠に1時間以上に亘ってインタビューしたものが収録されている。

「ラジオもレコードも無かった時代はピアノの前に座り、スコアを前にして弾きながら、作曲家がそこで何を表現したいのか自分で探るしかなかった」という言葉が印象的だ。

そして生涯続いた徹底分析の忍耐強い仕事が、冷徹に和声や音価の持つ意味合いを発見し、それをオーケストラで実現していく彼の手法の基礎になっていることは確実だ。

このようにして温められた彼の極めてオリジナリティーに富んだアイデアは見事に芸術として昇華されている。

懐古趣味的なLP大のカートン・ボックス入りで箱の厚みは5cmほどあり、30ページのライナー・ノーツもやはりLP大。

内部には四等分されたプラスティックの受け皿に28枚のCDとボーナスDVDが収納されている。

大きさについては現代的なニーズからはいくらか乖離しているとはいえ、ヴァントの代表的なオーケストラル・ワークが廉価盤で一挙に揃うのは魅力的だ。

録音は1976年から1999年にかけてで、デジタル・リマスタリングされた音質は鮮明かつパワフルで申し分ない。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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