2016年09月03日

ラフマニノフ/コンプリートRCAレコーディングス


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もしも、ラフマニノフが現代に生きていたら、一体どれだけ多くのロシアのピアニストがソリストとしての仕事を失っていただろうか。

真に巨人と呼ぶべき体躯、そして、それにふさわしい腕と指を持つラフマニノフは、その音楽性においても、リストとアントン・ルビンシュテインの弟子であったシロティの流れを引きながら、20世紀的な新しい方向性を与えたピアニストであり、作曲家であった。

その音楽性は、ヨーロッパとロシアのピアニズムの融合の中から生まれた濃厚で甘美なものであった。

ラフマニノフの恐るべきは、恵まれた体躯とテクニック、音楽性のいずれもにおいて、傑出した点であり、まさに犁霓有瓩箸靴呼ぶことのできない存在であった。

ラフマニノフのピアノ作品は、すべて彼自身が弾くために作られたものであるが、まず自作自演の彼のピアノ協奏曲第2番を聴いてみよう。

冒頭の和音、アシュケナージのような掌の小さなピアニストであれば、分散和音にして弾くしかない和音も、ラフマニノフはひとつかみで弾いてのける。

指が広がる掌の大きなピアニストは、概して関節の柔軟性に欠けて、堅い音、ぶつけた音を出しやすく、ワイセンベルクなどはその好例であるが、ラフマニノフにあってはそんな心配はまったくない。

およそピアニストであれば、どんな人間もば羨み夢見る指と腕、そして身体を、彼は持っていて、しかも、後期ロマン派の深く甘美な世界に、爛熟した帝政ロシアの文化を加えた音楽性を持っていたラフマニノフのピアノ演奏(と作品)に、当時の聴衆のみならず、現代のわれわれもまた、深く魅了されるのは、至極当然のことと言えるだろう。

もし、彼が現代に生きていたら、リヒテルは、ギレリスは、ベルマンは、アファナシエフやウゴルスキは、そのままのピアニストとしての地位を保てたであろうかと、そんな意地悪い妄想を抱くのは筆者だけであろうか。

ラフマニノフのユニークな点は、自作を弾くピアニストとしては、20世紀前半の新即物主義(ノイエ・ザッハリヒカイト)の影響を感じさせる優れた構成力を持つことである。

ところが、ショパンやシューマンといったロマン派の作品を弾くラフマニノフは、パッハマンやパデレフスキーらに共通するような19世紀的ロマン派のピアニストとしての音楽性を示す。

これがいかなるところから生まれたのか定かではないが、19世紀生まれのラフマニノフは、犖渋綺酩吻瓩任△辰深作を弾く時には、時代の最先端のピアニストであり、19世紀の作品演奏においては、その時代にふさわしい表現語法を持つピアニストであった点で、時代の推移の中にある猴夕梓儉瓩鮗┐靴討い燭箸盥佑┐襪海箸できよう。

ともあれ、彼の残した自作自演の録音には、不世出とも呼ぶべき巨大な音楽性とヴィルトゥオジティが、他の作曲家の作品には、時代の演奏様式の貴重な大家の記録が刻まれている。

彼の自作自演は、決して古びない偉大な芸術の証であり、いかにシンプルにして強固な構成感を示しているかを考えると、後のピアニストの演奏には、ある種の姑息さすら感じてしまう。

まさしく、誰もラフマニノフには及ばなかったと言えるところであり、その素材の良さと、それを十全に生かしきる音楽性とテクニックは、彼の作品の永遠の指標であり、理想像である。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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