2016年09月05日

ラフマニノフ自作自演〜ピアノ協奏曲全集


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20世紀前半を代表する大作曲家であったラフマニノフ(1873-1943)は同時に当代屈指の名ピアニストでもあった。

作品の重要な一角を占めるのがピアノ曲というのは当然のことであろう。

ピアノ協奏曲は全部で4曲残されたが、ラフマニノフはこれらを自らの演奏で録音もしており、いわば作曲家直伝の遺産としている。

自作自演で聴くラフマニノフの4曲の協奏曲はいずれ劣らぬ傑作なのだが、その特長、性格を一言で言い表すのは実はとても難しい。

というのはラフマニノフは何も特別なことはやっておらず、淡々と、あるがままに弾いていて、個性や特長で演奏を語らせることがまったくないからである。

まずソリストは全然無我夢中になどなっていないし、まして指揮者を煽ったり、オーケストラに闘いを挑むような、そんな競合していくそぶりも見せてはいない。

むしろオーケストラに溶け込み、同化したかのような演奏の世界を作り出していて、ソリストが過度にクローズアップされることをむしろ嫌ったかのようなバランスが採られている。

安易な聴き手は、「自作自演なのだから、作曲者はさぞや勝手を…」などと想像を逞しくして耳を傾けがちだが、とんでもないことである。

ラフマニノフはむしろ驚くほど謙虚で、慎ましくすらある。

協奏曲にあっては主従関係が当たり前の演奏ばかり耳にしている聴き手には、協奏曲に対する概念が打ち崩される演奏と言ってもよいであろう。

だが、それにもかかわらず、この自作自演盤は他のどんな名演奏家の録音にもない値千金の価値を持つ。

それは協奏曲というスタイルで書かれたラフマニノフの世界そのものの素晴らしさに目を開かせるからである。

聴き手は、ソリストだけではない、オーケストラだけでもない、指揮者だけでもない、ピアノ協奏曲という形式を借りて作られたロマンティックで、メランコリックで、しかもラプソディックな作品そのものに包まれ、そこにあるドラマと完全に一つとなり、最後はラフマニノフその人が持つ尽きせぬ魅力と結ばれた感動を覚えてしまうのである。

作品と同化し、作曲者の肉声を間近に聴く、この特別な体験は、この自作自演だけが与えてくれる特別の喜びである。

作品はあくまでも自然に再現されればよいのであって、そこに自ずと情感は付き従ってくる。

ピアニストの務めはその情感に溺れることでも、狂気乱舞することでもない、穏やかに同じ時を生きればよい…そんな作曲者からのメッセージが聞こえてきそうである。

ここに収められた演奏はラフマニノフ晩年の録音になるが、技巧は冴えわたっているし、音のバランスもよく、聴きやすいサウンドで残された点もありがたい。

「演奏家は汗など見せてはいけませんよ」…とラフマニノフが天国から現代の演奏家たちに語っているようにも感じられる、驚くほどに謙虚で慎ましい、作曲家の肉声を間近に聴く特別な体験である。

自ら演奏を得意とした作曲家は数多いが、ラフマニノフはその代表格、これが残されたことで原点が確認できる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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