2016年09月09日

ギレリス壮年期のRCA録音全集


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エミール・ギレリスとアメリカ合衆国との繋がりは1955年に彼がアメリカ・デビューを飾った時から始まる。

冷戦の真っ只中、鉄のカーテンの向こう側から逸早くアメリカにやって来た演奏家は他にオイストラフやコーガンがいて、やや遅れて1960年にはリヒテルが登場している。

この頃の彼らは母国旧ソヴィエトの威信を懸けた気迫に満ちた演奏を遺しているが、一方で当局からは亡命阻止のために常に監視され、また失敗は許されないという緊張感には尋常ならざるものがあったことが想像される。

この7枚のセットはギレリスが1955年に西側で初めて契約したRCAへの音源を中心に彼の壮年期の演奏をまとめたもので、LP初出時のオリジナル・デザイン・ジャケットを採用して、簡易だが彼の生誕100周年記念に相応しいコレクション仕様のバジェット・ボックスになっている。

なおこのセットと同時にクラウディオ・アラウのRCA及びコロムビア音源12枚も同シリーズのひとつとしてリリースされた。

本セットは古い音源ながら、ギレリスは確かな技量のもと、その音楽性はすぐれてパワフルでありながら、内面的にも深い解釈には得がたい説得力があり、彼の魅力を十分味わうことができる。

硬質な叙情性はクリスタル硝子の輝きに譬えたい気がするが、時にボヘミアングラスのような温かみ、素朴さも随伴していることこそ、ギレリスの懐の深さの表出と思う。

これらのCDの音質についてだが、RCAやコロムビアの録音はアメリカの大手メーカーがその技術革新と試行錯誤で鎬を削っていた時代だけあって、流石に録音チームのエンジニア達の意気込みが伝わってくるような鮮やかな音質で再現されている。

一番古いフリッツ・ライナー&シカゴ響とのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は1955年の録音だが、早くからステレオ録音を開始したRCAの極めて良好な音源に改めて驚かされる。

殆んどが当時の高音質盤リヴィング・ステレオによる既出盤だが、CD4のシューベルトのソナタ第14番イ短調は初のCD化という触れ込みだ。

またCD2のブラームスのピアノ協奏曲第2番第3楽章のチェロ・ソロでは、当時シカゴ響の首席だったヤーノシュ・シュタルケルの凛としたカンタービレが後に続くギレリスのピアノを引き立てて美しい。

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classicalmusic at 00:12コメント(0)トラックバック(0)ギレリス  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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