2016年09月11日

アラウ壮年期のRCA録音全集


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この12枚組のバジェット・ボックスは既に入手困難になってしまったクラウディオ・アラウ壮年期の演奏集で、1941年から52年にかけての総てがモノラル録音になる。

最初の3枚と最後の1枚は最も古い1940年代初期の音源で、彼がニューヨークのカーネギー・ホールでアメリカ・デビューを飾った直後に録音されたものだ。

SP盤を再生する時のスクラッチ・ノイズのような雑音が若干聞こえるが、リマスタリングによって芯のある良好な音質が再現されていて鑑賞に不都合な破綻はない。

むしろオーケストラが加わる協奏曲ではバランスの焦点が合わず、やや平面的で耳障りな音質になっているのが残念だ。

英、独、仏語によるライナー・ノーツ付で、その半分はオリジナル・ジャケットのカラー写真付の収録曲目及び詳細な録音、リリース・データのために費やされている。

クラウディオ・アラウは南米チリに生まれ、8歳の頃からドイツでリストの高弟だったマルティン・クラウゼに師事してリスト直系のテクニックを受け継いだヴィルトゥオーゾとしても名を馳せた。

彼はこの時代の巨匠と言われたピアニストの中でも最も鮮やかな技巧を誇り、また音楽性においてもスケールの大きい骨太なロマンティシズムと溢れんばかりのリリシズムを発揮している。

例えば3曲のモーツァルトでは甘美さを抑えた男性的な表現が特徴だし、バッハでは折り目正しい対位法の再現に努めている。

また恣意的な弾き崩しなどは一切なくベートーヴェンやシューマンなどで聴かせる形式感の確かさと彫りの深い演奏は新時代の解釈を先取りしていると言えるだろう。

勿論リストやリヒャルト・シュトラウスでは流石に師匠直伝の洗練された超絶技巧を披露している。

この集成は、アラウが人生の成熟期にあって、ヨーロッパの古典とそれを継承する音楽の文化の中で何を学び、何を表現しようとしたのかを示しており、音楽に真剣に対面し、人生と同じ重さで賭けたアラウの回答でもある。

そして、その後彼が歩んだ道は、私たち“ヨーロッパ音楽の他者”にも、多くのことを教えてくれる。

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classicalmusic at 00:19コメント(0)トラックバック(0)アラウ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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