2016年10月06日

マルタ・アルゲリッチ・エディション/室内楽編


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8枚のCDで構成されたマルタ・アルゲリッチ・エディションの室内楽編で、その大部分が2002年から2009年にかけてのスイス・ルガーノ音楽祭のアルゲリッチ・プロジェクトから採られている。

ここでは声楽作品を除く多岐に亘るアンサンブルの領域に挑戦する彼女の魅力が堪能できる。

またこの音楽祭での多くの若手演奏家の起用と彼らの演奏水準の高さも注目に値する。

例えばCD3でシューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番を弾く若干19歳のゲザ・ホッスス=レゴツキは同じCDでソナタ第2番を演奏しているルノー・カピュソンに比較して、まだ多少荒削りな部分があるにしても、その飛び抜けた資質は疑いない。

カピュソンについてはCD6でのバルトークのソナタ第1番が洗練された腕の冴えを発揮している。

管楽器ではナカリャコフがフリューゲルホルンで演奏したシューマンの『幻想小曲集』からの3曲が、柔らかい楽器の音色を活かした滑らかなカンタービレ奏法で極めて美しい。

大型アンサンブルの面白みとしては、幾分マイナーな曲だがCD7のヤナーチェクの小協奏曲が挙げられる。

一方ベテラン奏者では、この音楽祭とは別の録音になるがCD1のパールマンとのフランクのヴァイオリン・ソナタのライヴが秀逸で、更にCD6では同曲のチェロ編曲版をミッシャ・マイスキーの演奏で聴き比べることができる。

同じ曲でも相手がヴァイオリンとチェロでは当然伴奏のニュアンスも異なっている。

またCD3ではヴィオラの今井信子がシューマンの『お伽の絵本』でソロを、そしてCD8では同じくシューマンのピアノ五重奏曲に参加して深い味わいとアンサンブルの巧みさを聴かせてくれる。

アルゲリッチはこうしたあらゆる楽器に柔軟に対応する感性を持っているようで、今後の幅広い活躍にも期待したい。

彼女の現在の活動について、ソロを弾く機会が減ってしまったから伴奏や室内楽に転向していったと批判する人がいるが、筆者はそれはかなり見当違いの意見のように思えてならない。

何故なら彼女がこうしたジャンルに手を染めたのは決して最近のことではないし、しかもアンサンブルでは個性の異なる奏者の音楽を聴き、それを受け入れてお互いの芸術上の接点を探るという過程が不可欠で、リーダーシップを取ることはできても、そこに自己の抑制や協調という高等技術が必然的に要求されるからだ。

彼女がキャリアの後半にこうした室内楽のレパートリーを充実してくれたことは、協演する若手の演奏家にとってはかけがえのない経験に違いないし、そうしたことをむしろ私達は喜ぶべきだろう。

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Profile

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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