2016年10月08日

ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》[ブレンデル(オリジナル版)/プレヴィン&ウィーン・フィル(ラヴェル編曲版)]


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素朴なオリジナル版と、華麗なラヴェル編曲版を聴き比べる企画の面白さに惹かれるし、演奏がまた両方とも実に素晴らしい。

オーケストラの名曲として名高いこの曲は、もともとピアノ独奏用に書かれたものである。

ところが、不幸なことに、ムソルグスキーの生前には1度も演奏されることはなく、彼の死後、有名なラヴェル版をはじめ、多くの人たちの手でオーケストラ用に編曲され広く知られるようになった。

オリジナルのピアノ独奏版も、名手の手にかかると大変聴きごたえがある。

ドイツ・オーストリア系の作曲家の作品を得意としているブレンデルだが、この作品をコンサートでも頻繁に取り上げており、録音もこれが2度目にあたる。

自由な即興を加え絢爛豪華に仕上げたホロヴィッツ盤に対し、ブレンデル盤は正統派の演奏とでも言えようか、彼は、自身の考えるところのこの作品の本質をじっくりと、深く掘り下げ、慎重な運びで弾き進めている。

ブレンデルは決してピアニスティックな効果を展示しようとはせず、むしろ抑制された表現の内で彼の考えるこの作品の本質に迫ろうとする。

最強音を排した強弱のグラデーションの多様さ、常に求心的であろうとする表現は、その演奏においてあらゆる意味での押しつけがましさの要素を無縁なものとしながら、確固とした自己主張を行い、何よりも新鮮である。

実にどっしりと落ち着いた演奏で、ロシア臭の強いリヒテルとはやや異なり、各曲の性格を的確につかみ、隙のない精巧なまとまりを特に強く印象づける。

ここで彼は、1枚1枚の絵を、まるで細密画を思わせるかのように実に丹念に仕上げているのが特徴で、〈古い城〉〈卵の殻をつけた雛鳥の踊り〉〈バーバ・ヤーガの小屋〉など、その繊細な描写力は凄いの一言に尽きる。

プレヴィンとウィーン・フィルによる管弦楽版は、プレヴィン、ウィーン・フィル共にこれが初録音で、“プレヴィンがウィーン・フィルとのコンサートでラヴェルのスコアを再現している”ということが、このディスクの1つのセールス・ポイントになっている。

ラヴェルの色彩的なオーケストレーションを生かしながら、ロシア的情感を豊かに盛り込んだ大変充実したもので、しかも、ここにはライヴにありがちな演奏上の問題がほとんどない。

プレヴィンのスタイルは、どちらかといえばオーソドックスで、不要な作為や演出はどこにもみられず、ここでは、伝統あるオーケストラの中にひそむ近代的なフレキシビリティの存在を意識させ、ドラマティックな起伏や多彩な音色を自然に楽しませている。

切れ味鋭いリズム、加えて個々の楽器にしろ合奏にしろ、どこをとっても響きが美しく鮮烈かつ高度に音楽的な《展覧会の絵》だ。

この作品は、むろん標題的な要素をはっきりともった作品なのだが、プレヴィンは、とりあえずそうした音楽外の事柄にこだわらず、スコアに書かれた音楽を純度高く演奏することにだけ没頭する。

そうした方法が、ウィーン・フィルという自発性と室内楽精神に富んだオーケストラから、演奏者同士、そして演奏者から指揮者への共感と協調に満ちた気持ちのいい音楽を紡ぎ出す。

個々の音色の音色美、そして合奏時の全体の美しさはウィーン・フィルならではで、こうした本質的には純粋に音楽のテクスチュアを追求する絶対音楽志向のアプローチながら、演奏者たちを、そしてなによりも作品そのものを強引に引っ張りまわさないプレヴィンの柔軟な音楽づくりから、自然な標題的起伏が浮かび上がるのである。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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