2016年10月22日

アーノンクール&レオンハルトのバッハ:カンタータ大全集(2)


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第101番冒頭の合唱は、アーノンクールの思い切った表現が効を奏し、緊張に満ちた表現を築いている。第102番では第4曲のバスのアリオーソはよいが、テノールのアリアは劇的になり過ぎている。このカンタータではエスウッドの声の美しさが印象に残る。第103番はまず冒頭の合唱が素晴らしい。音程に甘さはあるが、実にきっちりと揃っているし、リズムの切れもよい。エスウッドのアリアもしみじみした表情を宿している。第104番ではアーノンクールのアクセントの強調が気になるが、独唱者たちがそれを補っている。第105番は全体的にあまりよい演奏ではないが、第106番では独唱者、合唱、合奏団ともに立派な演奏を示しているし、作品そのものも素晴らしい。第107番はボーイ・ソプラノがしっかり歌えており、エグモントのバスも軽やかなリズムを快く歌い出しなかなかの好演。第108番および第109番のテルツ少年合唱団は、歌い込みの行き届いた見事な歌いぶりだし、第109番のエスウッド、エクヴィルツも見事だ。第110番ではアーノンクールらしい現代的なリズム処理をみせ、一気に演奏している。少年達の独唱も印象深く、合唱も生気に溢れていて気持ちがよい。第111番のテルツ少年合唱団は好演。エスウッドの叙唱も冴えている。第112番もエスウッドのアリアが見事だ。第113番のレオンハルトではアーノンクールと別な伸びやかなバッハが聴かれる。第114番はコーラスが充実し、アリアをエクヴィルツが実に美しく歌っており、フラウト・トラヴェルソとの見事な絡み合いを聴かせてくれる。第115番はアーノンクールらしい緊張と弾力に満ちた音楽を作り、第2曲のエスウッドの流麗な歌唱が美しく、第4曲のボーイ・ソプラノも懸命な歌唱ぶりを聴かせる。第116番はコラール合唱の多彩な表現の中に、大きな音楽のうねりを聴く者の心の中に押し寄せてくる。第117番は華麗な色彩に溢れ、レオンハルトらしく伸びやかな表現である。第119番はエスウッドの成熟した歌唱が聴きものだ。第120番はエスウッドが最初から円熟した歌いぶりで見事。テルツ少年合唱団もなかなかしっかりした合唱を聴かせている。第121番はエクヴィルツ、エスウッド、フッテンロッハーともどもよく歌っている。第123番は冒頭の合唱が充実していて、生き生きとした生命を漲らせている。バスのホルは音楽的表出力が豊かだ。第124番はテルツ少年合唱団が健闘し、ソプラノとアルトの二重唱の2少年がよく歌っている。第125番は冒頭のコラール合唱が規模の大きな作り方をみせている。第126番は動きの激しい戦闘を表す音型をアーノンクールが独特の鋭角的表現で劇的に展開する。第127番はレオンハルトが“死と永遠”“受難と復活”を慎み深く描き出し、エグモントの深い歌いぶりも印象的。第128番は冒頭のホルンが、古雅な音色と華麗なテクニックで見事な演奏を聴かせる。第129番はレオンハルトらしい穏健なまとめぶりで、オーボエ・ダモーレとヤーコプスの声の音色がぴったり合って美しい。第130番はアーノンクール好みのティンパニが雄弁だが、弦を消しがちなのが気になる。第131番の導入のシンフォニアと合唱は伸びやかで美しい出だしだ。第132番は第1曲からソプラノの長大なメリスマを含むアリアだが、この難技巧のアリアをボーイ・ソプラノが見事に歌い切っている。第133番はコラール・カンタータの形をとっているが、合唱の占めるウェイトはそれほどでなく、むしろ独唱陣と器楽陣が充実した音楽を展開していて、レオンハルトの腕の見せどころでもある。レオンハルトの中庸をゆく表現はいつも通り。第138番は優れた出来で、第1曲の合唱ではアーノンクールの引きずるような重い運びが、テキストの意味をよく反映している。波打つような癖のある強弱の扱いも、曲の性格のせいか気にならない。また第9曲のアリアでのホルの歌唱が素晴らしく、バッハの書いた旋律を美しく生かしている。作品としても最も充実したもののひとつだ。第139番もよいまとまりを示し、ホルの歌唱も光る。レオンハルトの第143番、第144番の2曲は、美しいバランスのとれたアンサンブルと合唱を展開している。アーノンクールは第146番で素晴らしいエネルギーを噴出させている。開始のシンフォニアでの沸騰する情熱に、オリジナル楽器が巧みにフィルターをかけていく呼吸は見事だし、続く第2曲への対比も鮮やかだ。アーノンクール会心の演奏であり、エスウッドがこれまた最高といってよいほどの名唱。バッハの全カンタータ中、最も人気のある第147番には音楽の生命の自然な営みが示され、アーノンクールの進境と円熟がみられる。第151番での信じがたいほどの美しいボーイ・ソプラノを始め、全曲を通して独唱陣が極めて充実している。第152番はクリスマス後日曜日用のもの。第6曲のソプラノとバスの二重唱が印象深い。第153番は新年後の日曜日用で、第8曲のアルトのアリアが美しい。第154番はM.ヤーンのイエス思慕のコラールによる合唱曲がなんとも優しい気分を描き出す。ハイライトは第7曲のアルトとテノールの二重唱。第155番は第2曲が印象的。第156番の導入部分のシンフォニアは名旋律だ。第157,158,159番でレオンハルトは落ち着いた展開の中にバッハのよさを自然に表しており、テノールのエクヴィルツも安定したテクニックで危なげがなく、バスのエグモントも好演している。なかでも第157番が作品、演奏ともに素晴らしい。第161,162,163番は、アーノンクールの歌詞の内容に則した表現の変化と、劇的な音楽の扱いや音符の扱いなどに細やかな配慮が感じられる。第167番でのアーノンクールの指揮は聴きもので、キビキビした音の運びの中に優しさが加わっているのがいい。歌手も好調。第169番も冒頭のシンフォニアから活気が溢れている。この曲はアルトのソロ・カンタータでもあるが、エスウッドがいい。第170番は各曲の性格をレオンハルトが穏健な表現でよくまとめており、第172番も飾り気のない素朴な表現だが力強い。アーノンクールによる第173番は出色で、エクヴィルツが最初から引き締まった歌いぶりを示し、コンツェントゥス・ムジクスも瑞々しい表現を展開している。第174番もアーノンクールが最初のシンフォニアから積極的な指揮で、生気に満ちた演奏を行っている。第175番には最初のレチタティーヴォと第2曲のアルトのアリアに3本の堅型フルートが付されており、その鄙びた響きがレオンハルトの素朴な表現と合致して快い。第177、178、179番はアーノンクールが前進性に富んだテンポや各楽器の動きの線の明確化を目指しており、第178番冒頭のコラール合唱が力強く劇的な表現だ。第180番はボーイ・ソプラノが力及ばず、発声も柔軟さを欠く。第181番はエグモントのバスがしっかり歌って安心させる。第182番はコーラスもソロも緊張感に満たされ、充実した演奏。第183番はエクヴィルツがしっかり歌っており、どんなパッセージも空白な箇所を残さない。第184番はカウンター・テナーとボーイ・ソプラノがぴったり合っているし、コーラスもよく、リズムのさばきも見事。第185番はアーノンクールが性急なテンポで、いまひとつの余裕がほしいが、ハンプソンのバスは説得力のある歌を聴かせる。第186番は古楽器奏法に合わせた合唱の様式的唱法がやや煩わしいが、ホル、ヴィテクが見事に歌っている。第187番ではレオンハルトがおっとりと暖かいバッハを作り出している。第188番はアーノンクールらしいパワフルな演奏で、エスウッドも素晴らしい歌唱を聴かせる。第192番でアーノンクールは2つの合唱曲を、溌剌としたリズムと明るい響きによって極めて生き生きと再現しており、合唱団・合奏団の音の動きも明快で優れた演奏だ。第194番では舞曲調のリズムを軽やかに生かし、よくまとめあげている。独唱ではハンプソンの整った美しい歌唱が光る。第195番ではレオンハルトが華やかさを抑え、どっしりとしたリズムで滋味溢れた演奏を展開している。アーノンクールは第196番の優美な曲調をよく生かしているし、テルツ少年合唱団もしっかりと歌っており充実した演奏が聴かれる。第197番ではレオンハルトが落ち着きのあるしみじみとした演奏を展開し、ヤーコプスのアリアが心に残る。第198番は感動的な演奏でいぶし銀のような響きと、穏やかな音の中から死を悼む切実な心が伝わってくる。第199番でのボニーは美しい歌唱だが、甘く流れ過ぎている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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