2016年10月28日

デ・サーバタのヴェルディ:レクイエム(1954年スタジオ録音)、他


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このCDはイタリアHMV音源のLP盤から板起こしした復刻盤で、LPと聴き比べてみたが全く遜色のないほど良好な音質が再現されている。

むしろリマスタリングでは本家EMIからリファレンス・シリーズとしてリリースされているCDを上回っている。

ただし後半の余白に収録されているライヴからのオペラの序曲集及びレスピーギの『ローマの噴水』に関しては音源自体が古く、また経年劣化でかなり消耗しているために音質的には期待はずれだった。

ヴィクトル・デ・サーバタの数少ないスタジオ録音のひとつだが、プッチーニの『トスカ』と並んでスコアから横溢するドラマを引き出す彼の恐ろしいほどの鋭い洞察力と、ソリスト、オーケストラ、コーラスを一瞬の弛緩もなく緊密に統率する非凡な手腕が示された名演。

1954年にミラノ・スカラ座管弦楽団と合唱団を振ったモノラル・セッション録音で、当時こうした大世帯の音響を許容するだけのテクニックがまだ充分でなかったために音質的にはそれほど恵まれていないが、音楽そのものからは強烈なメッセージが伝わってくる演奏だ。

ソリストの中でも驚かされるのはシュヴァルツコップの後年には聴かれないような大胆で奔放とも言える歌唱で、おそらくこれは指揮者デ・サーバタの要求と思われるが、後半の「リベラ・メ」のドラマティックな表現や、「レクイエム・エテルナム」で聴かせる消え入るようなピアニッシモの高音も彼女の並外れたテクニックによって実現されている。

また「アニュス・デイ」でのドミンゲスとの一糸乱れぬオクターヴで重ねられたユニゾンの張り詰めた緊張感の持続が、最後には仄かに明るい期待感を残していて極めて美しい。

テノールのディ・ステファノはライヴ演奏でもしばしば起用された『ヴェルレク』のスペシャリストで、彼の明るく突き抜けるような歌声は宗教曲の演奏としては異例だが、ベルカントの泣き節たるこの曲ではすこぶる相性が良い。

第10曲「インジェミスコ」の輝かしさは教会の内部より劇場空間での演奏が圧倒的な効果を上げる一種のオペラ・アリアであることを端的に示している。

バスのチェーザレ・シエピについて言うならば、バスのパートをこれだけ完璧なカンタービレで歌い切った例も少ないだろう。

その深々として練り上げられた声質は重唱においても音程が正確で、他の歌手と共にヴェルディが書き記した対位法の声部を明瞭に追うことができる。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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