2016年11月04日

シェリング&クレンツのヴィエニャフスキ&シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第2番


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ヘンリク・ヴィエニャフスキ(1835-1880)とカロル・シマノフスキ(1882-1937)はどちらもポーランドの作曲家で、オーケストラはバンベルク交響楽団だが、実質的には同郷のヴァイオリニスト、ヘンリク・シェリングと指揮者ヤン・クレンツが祖国の作曲家に捧げたヴァイオリン協奏曲集という趣向になっている。

とは言っても双方が早くからインターナショナルな感覚を身に付けた音楽家であるために、他に引けを取らない情熱的な演奏には違いないが、偏狭な意味でのナショナリズムの高揚というよりは、むしろ2人の作曲家の普遍的な価値を洗練された様式で示したサンプルとしての意義があると思う。

特にシェリングは欧米のあらゆる音楽的な趣味を習得した上で、そのどれにも囚われない独自の奏法を確立していて、そのために時折個性に乏しいヴァイオリニストのように言われることがあるが、スタイルに逃げ道を探さない真摯な姿勢が彼らしいところではないだろうか。

筆者は所謂「本場の演奏」という表現が嫌いだけれども、こと固有のリズム感に関しては認めざるを得ない時がある。

ポーランド出身のシェリングが自国の2人の作曲家のコンチェルトを演奏したこのアルバムなどはまさにそれで、もうリズムだけでも酔わされる。

ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調は後期ロマン派特有の耽美的な抒情性を持った曲想と名技主義を披露する華麗なテクニックが駆使されているために、古今の名立たるヴァイオリニストのレパートリーとして欠かせない曲目になっている。

殊に第2楽章『ロマンス』でシェリングは恣意的なポルタメントをかけたりテンポを必要以上に動かすことなく、怜悧なボウイングのコントロールによって歌いきっていて、またメランコリーの表出にも不足していない。

終楽章『ジプシー風』には民俗的なテーマが挿入されているが、クレンツが支えるオーケストラに乗ったシェリングの緊張感に満ちたソロがやはりポーランド人の血を感じさせる。

一方シマノフスキの方は曲の最後の和音がイ長調のトニックだが曲中では殆んど調性から離れた作品になっていて、20世紀の新しい作品にも果敢に挑戦したシェリングの知性的な演奏が際立っている。

無伴奏の曲では他の追随を許さなかった彼らしい中間部の決然としたカデンツァやクレンツ&バンベルク響の創り上げる斬新な音響も聴きどころだろう。

音源はフィリップスで、いずれも1972年のセッション録音になりキレの良い音質が特徴だ。

尚このCDはリイシューされた日本盤で、見開きのみのリーフレット式のライナー・ノーツが付いているが、既に製造中止の憂き目に遭っているのが残念だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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