2016年11月09日

マズア&ゲヴァントハウスのオール・ベートーヴェン・プログラム(8枚組)


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ユニヴァーサル・イタリーの新譜で、昨年12月に亡くなったシレジア出身の指揮者クルト・マズアと彼の手兵ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による2回目のベートーヴェンの交響曲全曲及び三重協奏曲ハ長調、ピアノ、合唱と管弦楽のための『ファンタジア』ハ短調、ヴァイオリン協奏曲ニ長調、そして11曲の序曲を収録したオール・ベートーヴェン・プログラムの充実した内容を持つセットである。

録音は1972年から93年にかけて行われたもので、それはマズアが43歳でゲヴァントハウスの音楽監督就任以来20年以上に亘る彼らのコラボの集積でもある。

アナログからデジタルへの移行期だったために双方のシステムが使われているが、総てがフィリップス音源で音質は極めて良好だ。

グローバル化の進んだ当節のオーケストラのサウンドの変化はゲヴァントハウスでも同様で、近年では非常に洗練された垢抜けた響きを持っていて、昨年聴いた時には旧東ドイツのオーケストラではむしろシュターツカペレ・ドレスデンの方が渋みのあるドイツらしい音色を保っているように思えたが、ゲヴァントハウスには伝統的な文化の厚みを担った重厚さと気迫が残っていて、現在でもそれがこのオーケストラのカラーになっているのだろう。

ある意味では融通性は少ないが質実剛健でベートーヴェンの原点を感じさせるような力強くダイナミックな表現が聴きどころで、それを更に引き出すようなマズアの手法が象徴的だ。

彼にはこれらの作品を小器用にまとめることよりも、もっと大掴みだが骨太な音楽性を感じさせるといった趣があり、媚びや洒落っ気のない直線的で頑固とも言える音響力学が彼らの醍醐味だろう。

マズアの指揮には個性的な面白みやスリルに欠けるという評価があるが、彼はカリスマ性で惹きつけたり個性を前面に出す指揮者ではなく作曲家の音楽語法を手に取るように明らかにするという意味で彼がここに示しているベートーヴェン像は、筆者自身には納得のいくものだ。

シンプルでテンポも速めだが、明確な構想があり整然としたオーケストレーションと混濁のない響きは決して軽佻浮薄な音楽に陥ることがなく、黒光りするような職人的な練達の技を感じるというのが正直な印象だ。

マズアとゲヴァントハウスの対立するイディオムが、背反することなくひとつの語法へと収斂したのが成功の一因と言えるところであり、音楽の起伏も豊かで、骨格が太く強い芯のある演奏になっている。

交響曲は熟成した柔らかく質朴な美しさと、滔々とした音楽の流動感があり、ライプツィヒの街と伝統にふさわしい色が音楽にも表れている。

ヴァイオリン協奏曲ではアッカルドの楽観的なイタリア式カンタービレが意外に良く調和して、ヨアヒムの長大なカデンツァも朗々とした自然な美しさがある。

三重協奏曲のボザール・トリオはソリストとしての主張は控えめながら、粒の揃ったアンサンブルをマズアが几帳面に支えている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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