2016年11月13日

キーシン・プレイズ・ショパン〜RCA Red Seal 全ショパン録音集成


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21世紀のピアノの巨匠として高い評価と人気を誇るエフゲニー・キーシン得意のショパンの人気主要作品をほぼ網羅したアルバム。

キーシンがその名を世界にとどろかせたのは1984年、12歳で弾いたショパンのピアノ協奏曲2曲のソ連メロディアレーベルのレコードであった。

それ以来、ショパン作品はキーシンにとって最重要のレパートリーとして繰り返し演奏し、新しいレパートリーが増える毎に、RCAにその足跡をレコーディングという形で残してきた。

1993年にカーネギー・ホールで行われた「オール・ショパン・リサイタル」のライヴCD2枚を皮切りに、1998年、1999年にスタジオ録音のショパン・アルバムをリリースし、2004年のヴェルビエ音楽祭での伝説的なライヴ演奏も2006年に発売された。

本BOXはピアノ協奏曲を除き、それら5枚を集成し、1994年スタジオ録音と2004年ライヴ録音の2種類の『英雄ポロネーズ』も収録して、ショパン・イヤーに合わせて発売されたものだ。

すなわち、このセットは15歳でサントリー・ホールに登場してから、30代前半までのキーシン青年期のショパン演奏の記録であり、それはまた繰り返し録音をしない彼のポリシーからすれば、貴重なショパンの集大成と言っても良いだろう。

ここでもキーシンは自然に溢れ出るような格調高い音楽性を歌い上げながら、時として突き進むような集中力と華麗なテクニックで圧倒的な表現力の広さを披露している。

爛襦璽咼鵐轡絅織ぅ鵑慮綏兌圻瓩噺討个譴襯ーシンが、鮮やかな技巧と、輝きに満ちた鮮明なタッチ、格調高い音楽性によって、爽やかな情緒を湛えた美しいショパン像を描き出して、楽しませてくれる。

確かに彼の『エチュード』が存在しないのは残念だが、『ノクターン』や『マズルカ』あるいは静謐な『子守唄』で聴かせる洗練された感性とエスプリは、メカニック的な技巧のみに溺れないキーシンの音楽に対するフレキシブルな姿勢を良く示しているし、5枚のうち3枚がライヴ録音であることを考えれば彼の完璧主義が面目躍如たる演奏だ。

特に1997年秋にはサバティカルに身を休め、20代半ばまでの人生をおそらく振り返ったであろうキーシンが、1998年夏に録音した待望の『バラード』全集は、完璧としか言いようのない技術、惚れ惚れとするばかりに美しく、また輝かしい音色を武器に繰り広げられる壮絶なショパンであり、以前にも増して高みへと至ったキーシンの真価を満喫させる。

ショパンへの想い、バラードに対する共感のすべてが音の結晶体となって聴き手に降り注がれる演奏であり、1つ1つの作品の素晴らしさに打ちのめされると同時に、真摯なる演奏家としての道を突き進むキーシンの生き方そのものの足音を聴くかのような感銘を与えられる。

また、成長したキーシンが巨匠への道を歩み始めた証明と言える『プレリュード』は、1音1音のタッチに曲の解釈とその表現(技術的、精神的意味すべてにおいて)への自信が感じられる快心の演奏で、実際、曲によってはこれまでの演奏よりも譜面の読みがいっそう深いと感じさせる部分も多い。

ショパンのピアノ音楽のミクロコスモスであるこの曲集から、キーシンが自らの新たな可能性を切り開いた、唯一無二の至芸と言いたい。

録音年代は1987年から2004年で、ライヴとセッションではいくらか音質にばらつきがあるがいずれも良好だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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