2016年12月03日

ベル・エポックのフレンチ・オーケストラル・ワークより


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ベル・エポック(1880-1914年頃を指しての良き時代)のフランスの作曲家の作品は、楽理的に追究したところで実際のサウンドに魅力が出せなければつまらない。

それには作曲家の感性が充分に反映されるような垢抜けたセンスや即興性、あるいはオーケストラから引き出される色彩感などを外部に向かって発散させるユニークな個性と手法が求められる。

1曲目のショーソンの交響曲変ロ長調も例外ではなく、瞬間瞬間に鳴り響くオーケストラの音響とその映像的な展開が感知されなければ面白くない。

ミュンシュはその辺りを誰よりも良く心得ていた指揮者で、ともすればあざとくなりがちな音楽を、あくまでも芸術的な領域で嬉々として表現している。

ショーソンが残したたった1つの交響曲は、高雅な詩情としめやかで洗練された抒情に溢れるかけがえのない傑作であるが、残念なことになかなか名演奏に恵まれない作品でもある。

しかしミュンシュが残した記念碑的な名録音の1つであるこの演奏は、この傑作の魅力をこれ以上なく味わわせてくれる格別の名演である。

弾力性のあるリズム感と引き締まった造型感覚を駆使して、この優雅でロマンティックな交響曲に臨んだミュンシュは、作品の構築性の薄さをカヴァーしながら、より磨き抜かれた純度の高い美しさを引き出しており、そこでは、豊かなポエジーと強靭な精神が輝かしい融合を果たした絶妙な表現がリアリゼされるまでに至っている。

彼はまた聴衆を自己の世界へ引き込んで感化してしまうカリスマ性にも長けていた。

言い換えれば聴き手の要求も熟知していて、ここぞという時にそれを惜しみなく出し切る老練な手腕がこのアルバムにも示されている。

1962年にボストン交響楽団を振ったものでボストン・シンフォニー・ホールで録音されている。

レギュラー・フォーマット仕様だがリマスタリングの効果は歴然としていてドビュッシーと並んで音質は極めて良好。

2曲目もショーソンの作品で、メゾ・ソプラノと管弦楽のための『愛と海の詩』だが、この演奏は1951年3月9日のBBCコンサート・ライヴからプライベート録音されたものらしく、音質は海賊盤の域を出ないし、第1曲に短い欠落もあるがコントラルトのキャスリーン・フェリアーの絶唱が聴ける貴重な音源。

これはデッカ、EMIのどちらのコンプリート・レコーディング集にも組み込まれていない。

モーリス・ブショルの詩に付けられたショーソン面目躍如の甘美な逸品だがフェリアーの歌唱は決して感傷に浸るものではなく、高踏的な美しさとこの詩の持っているドラマティックな側面を直感的に捉え、それらを浮き彫りにしているのが如何にも彼女らしい。

尚この曲のみジョン・バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団の演奏になり、ライナー・ノーツにはフランス語の原詩が掲載されている。

アンリ・ビュッセル編ドビュッシーの交響組曲『春』はショーソンの交響曲と同様、1962年のミュンシュ指揮、ボストン交響楽団のセッション録音になる。

ルネサンスの名匠ボッティチェッリの絵画『春』から霊感を得たと言われる作品で、一見掴みどころのないような楽想の連なりをミュンシュはメリハリを効かせた光彩に溢れる魅力的な管弦楽曲に仕上げている。

曲がミュンシュの肌にぴったりと合っているということもあってか、簡明直截な表現で、この名人オーケストラを存分に駆使して、春の喜びを歌い上げている。

第2楽章後半のマーチ風のコーダでは弦楽から導き出される明るく艶やかな音色とボストン交響楽団の大胆でパワフルなブラス・セクションをミックスしたクライマックスが圧巻だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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