2016年12月17日

ショルンスハイムのバッハ:ゴールドベルク変奏曲/ブクステフーデ:ラ・カプリッチョーザ


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前回はバッハの『平均律クラヴィーア曲集』全2巻で柔軟な解釈とピリオド楽器の響きを大切にした趣味の良い感性を披露したショルンスハイムだが、今回彼女はバッハの『ゴールドベルク変奏曲』の2度目の録音を果たした。

聴き比べてみると解釈自体にそれほど大きな変化はなく、全体的に更に自由闊達な演奏になり、また装飾音などに繊細なセンスが表れているし、バッハが称賛したチェンバロ、ミートケ・モデルの美しい音響が活かされたゴージャスな雰囲気が醸し出されている。

ただ筆者にはむしろカップリングされているブクステフーデの創作主題による32の変奏曲『ラ・カプリッチョーザ』が意外な副産物だった。

彼女がこのふたつの作品を収録したのは決して偶然ではなく、バッハがおそらくこのリュベックの巨匠の作品を熟知していて、『ゴールドベルク』にも少なからず影響を与えているという事実だ。

彼がブクステフーデのオルガン演奏を聴くためにアルンシュタットから400キロメートルの徒歩の旅を敢行し、3カ月ほどリュベックに滞在したことは良く知られたエピソードだ。

変奏曲『ラ・カプリッチョーザ』は全曲ト長調で書かれているが、およそ思いつく限りのさまざまなヴァリエーションが滾々と湧き出る泉のように現れる、ブクステフーデのファンタジーが縦横に発揮された華麗な作品である。

今回の彼女の使用楽器だが、ミヒャエル・ミートケが1710年頃に製作したチェンバロをクリストフ・ケルンが2013年にコピーしたもので、オリジナルはスウェーデンのフディクスヴァルに保管されている一段鍵盤の楽器のようだ。

製作者ミートケは当時ベルリンに工房を構えていて、大バッハがケーテンの宮廷のために二段鍵盤のチェンバロを購入した記録も残されているために、このモデルはバッハの演奏にしばしば使われている。

ルッカースの流れを汲むダークで澄んだ音色と長い余韻が特徴で、ピッチは2曲とも現代よりほぼ半音ほど低いa'=415Hzだが、調律はブクステフーデにはミーントーン、バッハにはキルンベルガー第3法が採用されている。

ミーントーンは完全五度をごく僅か狭めることによって長三度の和音を純正に保つための調律なので、ごく単純な単一の調性での範囲内で書かれた曲では力強く美しい響きが特徴だが、転調したり変位記号が付くとスケールを形成する音の間隔がずれてしまうので調子外れに聞こえる欠点がある。

この録音でもトラック3の第12変奏でその風変わりな音程が感知されるだろう。

一方キルンベルガーは一箇所の五度を犠牲にすることによってあらゆる転調にも対応できるオールマイティーな調律法を考案している。

彼はバッハの弟子であったことから師の調律法に近いものであることが想像される。

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classicalmusic at 00:42コメント(0)トラックバック(0)バッハ  

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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