2016年12月26日

ジュリーニ&フィルハーモニア管のシューマン:序曲『マンフレッド』、交響曲第3番『ライン』/チャイコフスキー:交響曲第2番『小ロシア』[SACD]


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カルロ=マリア・ジュリーニが彼のロンドン時代にセッション録音した3曲を収録したアルバムで、当時全盛期だったフィルハーモニア管弦楽団との協演をハイブリッドSACD化したものである。

3曲ともジュリー二の追悼盤としてリリースされたEMIの『ロンドン時代のジュリーニ』17枚組セットにも組み込まれている。

シューマンの交響曲第3番変ホ長調『ライン』は、マーラーがオーケストレーションに手を加えたスコアを使用しているのが特徴で、作曲家のオリジナリティーを尊重する現在では稀な演奏と言える。

またそれが妥当かどうかは別として、シューマンのオリジナル・スコアの音響との比較が興味深い。

シューマン自身オーケストレーションの困難さは自覚していたようだが、結果的には独自の分厚く籠ったサウンドを生み出し、曲種によってはかえってそれが効果的に機能しているのも事実だ。

例えば第1曲目の序曲『マンフレッド』は暗雲立ち込めるような重苦しい雰囲気が主人公マンフレッドの数奇な運命を暗示しているし、ジュリーニの指揮もそれを意識している。

一方交響曲『ライン』は曲想の示している解放的な雰囲気から、ジュリーニは敢えてマーラー版を採用したと思われる。

ただ彼はマーラーによってシェイプアップされたサウンドが軽佻浮薄になるのを避けるためか、冒頭は荘重なテンポで開始している。

マーラーにはその独特な音響感覚だけでなく尊大とも思える天才意識があったようで、オーケストレーションだけでなく、それに伴う発想記号まで変えているし、シューマンのみならずベートーヴェンの交響曲にさえも容赦なく手を入れている。

しかしながらこうした改竄は今日では到底許されるべきことではないだろう。

尚シューマンの2曲に関してはライナー・ノーツに1958年オリジナル・コロムビア・グラモフォン・カンパニーによるロンドンでの録音と記載されていて、序曲の方は解像度の高い完璧なステレオ録音だが、交響曲『ライン』は何故か擬似ステレオ化されたモノラル録音で、その理由については言及されていない。

音場に奥行きが出ているのはSACD化の効果だろう。

最後のチャイコフスキーの交響曲第2番ハ短調『小ロシア』は他より2年古い1956年のセッションだが、幸い歴としたステレオ録音で音質も3曲の中では最も良く、SACD化でのリイシューは朗報だ。

EMIのステレオ録音盤の正規リリースは1958年からだが、実際には既に試験録音を始めていたことを証明している。

チャイコフスキーの交響曲としては例外的に明朗な作品で、スラヴ民謡を採り入れた国民楽派的な作風から『小ロシア』のニックネームが付けられたようだ。

ジュリー二の卓越した劇場感覚がバレエ組曲を髣髴とさせる色彩感溢れる気の利いた音響を創造していて、飛びっきり軽快なスケルツォや終楽章の変奏曲でのコサック・ダンスのホーパックさながらの盛り上げが聴きどころだ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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