2016年12月28日

ジュリーニのモーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』


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1959年にカルロ=マリア・ジュリーニが当時全盛期だったフィルハーモニア管弦楽団を振ったモーツァルトの歌劇『ドン・ジョヴァンニ』の名盤は、ウィーンのバリトン、エーベルハルト・ヴェヒターをタイトル・ロールに起用し、レポレロにも老巧なところを見せるバリトンのジュゼッペ・タデイを配しているところに特徴がある。

それ以前の全曲録音ではフルトヴェングラー&ウィーン・フィルによる1954年のザルツブルク音楽祭のライヴが、バス歌手による同オペラの最高峰に値する重厚な演奏で、イタリアのバス、チェーザレ・シエピの高貴な歌唱と名演技が忘れ難いが、ジュリーニは敢えてバスは騎士長のフリックだけに留めて、より軽妙洒脱なドラマ・ジョコーサに仕上げている。

勿論女声陣もドンナ・エルヴィーラにシュヴァルツコップ、ドンナ・アンナにサザーランド、ツェルリーナにはシュッティなど芸達者な歌手が揃っているし、ドン・オッターヴィオはルイジ・アルヴァ、マゼットは若き日のカップッチッリという魅力的な顔ぶれによる超豪華キャスティングである。

ヴェヒターの若々しい情熱を持って歌い切って輝かしく、貴族然とした歌唱はスケールこそ大きくないが無難なまとめで、言ってみれば等身大の新派的なドン・ジョヴァンニを演じて好感が持てるし、演技の巧妙さも髣髴とさせる。

円熟の極にあったシュヴァルツコップは文字通りの力演で、女心の複雑な心理をよく歌い分け、流石と納得させられる。

シュッティは透明な声に加え聡明な歌いぶりで魅了し、サザーランドも素晴らしい声で豊かな音楽性を感じさせる。

またジュリー二の指導の成果と思われるイタリア語のレチタティーヴォの発音とそのニュアンスの多様な表現をキャスト全員が巧みにこなしているプロ意識も流石で、快いムードが全篇を包んでいる。

こうした番号制のオペラではストーリーの展開を手際良く進め、それぞれの役柄を明確に表出するために欠かせない唱法だが、イタリア人以外の歌手も完璧に習得して指揮者の要求に見事に応えている。

ジュリーニは1970年代に入るとオペラ界から次第に手を引いていき、メトロポリタン歌劇場からの招聘も断わり続けた。

その理由のひとつは、忙しく世界中のオペラ・ハウスを移動して歌いまくるために声が荒れて質の落ちた歌手と、短時間に制限されたやっつけ仕事で仕上げなければならない稽古では、彼の理想とする舞台を創り上げることが困難だと感じたからだ。

それは辛辣だが真摯に音楽に奉仕する指揮者としてのポリシーを曲げない信念を示した選択だった。

これだけオペラに造詣が深く経験豊かなベテラン指揮者を失ってしまったことは、オペラ界にとっても大きな損失だったに違いない。

既にCD−ROM付のリマスタリング盤がリリースされていたが、こちらはイタリア語リブレットと独、英、仏語対訳を印刷したブックレットをつけたコレクション仕様になっている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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