2017年01月01日

モントゥー&ウィーン・フィルのベルリオーズ:幻想交響曲、他[SACD]


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1958年にピエール・モントゥーがウィーン・フィルを振ったベルリオーズの『幻想』は先ずその音質の鮮明さに驚かされる。

また音響の拡がりや残響も理想的に捉えられている英デッカのステレオ黎明期の名録音のひとつだ。

音楽的に言えばモントゥーのこの曲への綿密な音楽設計が際立っていて、これ見よがしの演出を避けて純粋に音楽的な要素のみを彫琢したシャープな造詣に特徴がある。

ベルリオーズには形式感が厳然と存在していて、その中でのストーリーがあたかも映像を見るように次々に進んでいく表現が秀逸だ。

またこうした手法をウィーン・フィルにも徹底させていて、彼らも格調高い音色と巧みなアンサンブルで指揮者の要求に良く応えている。

第2楽章の優美だが次第に鼓動が高まって戦慄を呼び起こすようなワルツや、第4楽章「断頭台への行進」での金管楽器に抑制を効かせた、しかしウィーン・フィルの底力を見せる余裕を持った凄みにかえって迫力が感じられる。

終楽章の荘重な鐘の響き、フーガとグレゴリオ聖歌の旋律が重なり合うクライマックスも、あくまでも俗っぽいおぞましさからは離れた高踏的な解釈での演奏が好ましい。

モントゥーは同曲を4回録音していて、名盤と言われたサンフランシスコ響との2回目の録音に比べると表情が抑制され、オーケストラも色彩も地味なものとなっている。

そうした面では多少特色に乏しい印象もあるのだが、演奏に巨匠的な風格が漂っているのは言うまでもない。

白熱的な演奏スタイルではないが、この曲を得意としたモントゥー独自のアイデアが光る名演と言えるところであり、やはり、あらゆる『幻想』の中で注目すべき1枚だろう。

一方カップリングされたディミトリ・ミトロプーロス指揮、ニューヨーク・フィルにエレノア・ステーバーのソプラノ・ソロが加わる『夏の宵』は、指揮者の精緻でありながら官能的なオーケストラに乗って、ステーバーの艶やかな歌唱が映える演奏だ。

ミトロプーロスの頭脳的プレイは流石だが、この録音では第1曲の「ヴィラネル」が抜けて5曲のみの収録になる。

ライナー・ノーツによればこの曲がメゾ・ソプラノの響きにはそぐわないために省かれたと書かれているが、ステーバーは歴としたソプラノなので、曲趣と歌手の声質の統一を図るために指揮者自身が除外したのかも知れない。

1953年最初期のステレオ録音らしく、分離状態はそれほど良くないが音質は良好で、リマスタリングの効果もあってノイズの極めて少ない、しかも充分な音量で鑑賞することが可能だ。

現在プラガ・ディジタルスからリリースされている歴史的録音のSACD化シリーズの1枚で、ステレオ・アナログ・オリジナル・ソースからのDSDバイ・チャンネル・リマスタードとの記載がある。

当時のオープン・リール磁気テープへの録音及びその保存状態が良かったためか、SACD化の成功例に数えられる。

尚ライナー・ノーツは15ページで、演奏者及び曲目の紹介が英、仏語で、そして歌曲集『夏の宵』については仏語の歌詞が掲載されている。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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