2017年01月04日
シュタルケル&シェベックのブラームス:チェロ・ソナタ集
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シュタルケルのブラームス・チェロ・ソナタ集は1979年のエラート音源で、ピアニストはジェルジ・シェベックだが、これは彼らにとって第2回目のセッション録音となり同メンバーによる1964年のマーキュリー音源とは別物になる。
メンデルスゾーンのチェロ・ソナタをカップリングしてあるマーキュリー盤は現在単独でもセット物でも選択肢が多いが、当CDは3回目のベートーヴェン・チェロ・ソナタ全集と同様アペックスからのリイシュー廉価盤で、現在ワーナーのイコン・シリーズの10枚組かこのアペックス盤のみで入手可能だ。
第1回目の録音から更に15年を経たシュタルケルの解釈は大きな変化を遂げたわけではないし、テンポも第1番の第1楽章がややゆったりしている他は殆んど変わっていない。
むしろ様式の洗練によってブラームスの対位法が更に明確になり派手なアピールこそないが、それだけにハッタリのない、しかし圧倒的な余裕と確信を感じさせる演奏と言えるだろう。
ブラームスのチェロ・ソナタ第1番ホ短調は彼が32歳の時に完成した作品で、素朴な民謡風の語り口調の冒頭とバッハの『フーガの技法』から採り入れたテーマによる終楽章のフーガがこの曲に意欲的な性格を与えている。
それとは対照的に第2番ヘ長調はブラームス53歳の円熟期の曲で、おおらかに歌い上げるカンタービレと自在に変化する細やかな曲想が印象的だ。
シュタルケルは回を重ねるごとに解釈を切磋琢磨して、よりシンプルだが作品の核心を衝く磨き抜かれた演奏を遺しているが、この2回目の録音でも曲想にのめり込むことなく確実なテクニックに裏付けられた表現で作品全体に毅然とした輪郭を与え、硬派のロマンティシズムを聴かせている。
ピアニスト、ジョルジ・シェベックはシュタルケルとは同郷の朋友でハンガリー時代からの協演者だが、彼の演奏は常に明快でチェロを巧みに引き立てるだけでなく、時には大胆な音響でソロに拮抗している。
録音状態は当時のものとしては極めて良好で、溌剌とした擦弦音をも捉えた生々しい音質が再現されている。
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