2017年01月12日
ジュリー二の協奏曲集
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EMI音源の協奏曲集を9枚のCDにまとめたジュリーニ生誕100周年記念アンソロジーのひとつ。
フィルハーモニア管弦楽団を指揮したヴィヴァルディの『四季』全曲が、このセットでは1955年の唯一のモノラル録音になるが、それとは別にステレオ・テスト・レコーディングとして「秋」の3つの楽章も収録されている。
英テスタメントによってリマスタリングされたジュリーニとしては際物的なレパートリーで、音質も時代相応と言ったところだが、広いダイナミクスを使った独創的でしかもスケールの大きな描写は流石と思わせる演奏だ。
このセットではまたシュタルケルをソロに迎えたボッケリーニ、ハイドン、シューマン及びサン=サーンスの4曲の協奏曲が秀逸だ。
いずれも1957年から翌58年にかけてのセッションで、同じくフィルハーモニア管弦楽団を振ったものだが、若かったシュタルケルのシンプルだが堅牢な音楽作りと爽快な超絶技巧を際立たせるジュリー二の巧妙なサポートが聴きどころだ。
これらは手に入りにくくなっていた録音なのでバジェット盤での復活を評価したい。
尚サン=サーンスの同協奏曲は7枚目にロストロポーヴィチのソロでロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と1977年に再録音したものも含まれている。
同様にブラームスのピアノ協奏曲第1番に関してはクラウディオ・アラウ、フィルハーモニア管弦楽団(1960年)とワイセンベルク、ロンドン交響楽団(1972年)の2種類のセッションが収められている。
シュタルケルの剛毅で正確無比、ロストロポーヴィチの柔軟で多彩な奏法を駆使したソロ、アラウの骨太で彫りの深い解釈、ワイセンベルクの陰影に富む華麗なピアニズムと、それぞれの演奏家の聴き比べをするのも一興だ。
ミルシテインとのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番は、ソロ・ヴァイオリンの高潔とも言える透明感のある音色を活かした、滑らかなレガート奏法が全曲を通じて堪能できる優れた演奏だ。
エスニカルで原始的なパワーを聴かせる部分でも力で押しまくるのではなく、あくまでも楽想表現としての態勢を崩さないミルシテインのテクニックには敬服させられる。
またそれを支えるジュリー二のきめ細かな指示によって作り出される精緻で、極めて機智に富んだフィルハーモニア管弦楽団の音響の面白さも特筆される。
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