2017年02月14日
ダントーネ&アカデミア・ビザンティーナのハイドン:交響曲第78〜81番
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2032年がハイドン生誕300周年に当たり、それに向けて現在ふたつのイタリアの古楽グループが世界初のピリオド・アンサンブルによる交響曲107曲の全集の制作に向けて着手している。
既にCD3枚計9曲の録音を終えているのがジョヴァンニ・アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコで、この遠大な構想を着実に遂行しつつあるように見える。
一方こちらは同じくイタリア古楽界のベテラン・チェンバリスト、オッターヴィオ・ダントーネがアカデミア・ビザンティーナとの全曲レコーディングを完成させる企画を立ち上げている。
その第1弾として昨年2016年にリリースされたのがこの2枚組4曲で、そのうち第79番及び第81番はピリオド・アンサンブルの録音では初めての試みのようだ。
古楽奏者によるハイドンの交響曲全集は唯一ホグウッド、ブリュッヘン、ダントーネの三者混成ボックスがデッカから出ているが、いくらかご都合主義の寄せ集めの感は否めない。
またロイ・グッドマン&ハノーヴァー・バンドもかなりの曲数を録音しているが、いずれも単独では全曲録音にまで至っていないのが現状で、この機会にダントーネ、アントニーニの両者が最新の録音で全集を完成させることを期待したい。
この膨大な作品群を現代の大編成のオーケストラを使った分厚いサウンドで演奏するのもひとつの解釈だが、彼のように当時の宮廷楽団のアンサンブルをイメージさせるインティメイトな再現も重要な選択肢のひとつだろう。
彼らから引き出される音色は少人数編成ということもあって、古典派特有のジオメトリックなスコアのテクスチュアが見えてくるような精緻さと独特の透明感があり、かえってそれがフレッシュな音響を創造しているのは事実だ。
その意味ではむしろアントニーニの起伏に富んだ情熱的な演奏を凌駕していて、ダントーネのクールとも言える知的な解釈が反映されている。
また今回はメジャーな作品を敢えて避けた、肩透かしを食わせるような4曲を並べたところもユニークだが、ダントーネによる来たるべきハイドン交響曲全集のサンプラー盤として聴く価値があるもので、それぞれが味のある個性を持っていて音楽的にも他の標題付の交響曲に決して劣るものでないことが証明されている。
セッションの会場となったラヴェンナのゴルドーニ劇場は豊かな残響を持っているが、古楽器の音質を忠実に捉えた録音状態も秀逸。
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