2017年02月16日
フレーのショパン・アルバム
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ダヴィッド・フレーは成長著しい現在最も注目すべき若手有望株のピアニストの1人である。
フレーはフランス生まれの最もフランス的なピアニストでありながら、これまでフランス物には殆んど目もくれずドイツ系の作曲家の作品ばかりを録音してきたが、どうやら鉾先を転じつつあるようだ。
今回のショパン・アルバムは少なくともセッション録音では初挑戦で、予想はしていたがこのCDでもやはり彼らしい滴るような抒情に包まれたウェットなサウンドを駆使しながら甘美かつスケール感にも不足しない演奏が繰り広げられている。
彼はそれぞれの作品を自分の領域に容赦なく引き込んで敢然と手を加えるが、それほど耽美的に感じられないのはむやみにリズムを崩したり、音価を引き摺るのではなく、あくまでも鍵盤へのタッチと、それによって生み出されるディナーミクの千変万化で聴かせることに注意が払われているからだろう。
その深い瞑想に支配された感性の繊細さには尽きない魅力があり、さながら現代のピアノの詩人といったところだ。
彼はもともと超絶技巧で聴衆を唸らせるタイプの演奏家ではなく、彼自身そのことを誰よりも自覚しているので、通常若手ピアニストが取り組む派手なテクニックを誇示するような曲目には一切手を染めていない。
それとは対照的にピアノという楽器を通して如何に心情の機微を歌い上げるかというところに早くから嬉々として勤しんでいるように見える。
その成果がこれまでにリリースされてきたドイツ系の作品にも着実に応用されていると言えるだろう。
今回のショパンの選曲を見れば自ずと理解できるように、ノクターンやマズルカの詩的な魅力が究極的に追求されている。
通常このような選曲のアルバムは大家の演奏でもない限り売れ筋ではないのだが、洗練された個性的な解釈の美しさだけでなく充分な説得力を持った堂々たる演奏に驚かされる。
2016年9月パリのノートルダム・デュ・リバン教会における録音で、収録曲目に関しては上記のアマゾンのページのイメージ欄にケース・カバー裏面の写真が掲載されているので参照されたい。
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