2017年03月04日
リヒテル/オイロディスク・レコーディングス
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巨匠リヒテルがオイロディスクに遺した1970年から83年にかけてのセッション録音をまとめたもの。
ファースト・リリース時のカップリングとオリジナル・ジャケット・デザインを採用してリマスタリングされた14枚のCDセットになる。
このために収録曲数のわりにはCDの枚数が多く、また初出音源こそないが、彼の演奏の中でも伝説的でさえあるクレスハイム宮殿でベーゼンドルファーを弾いたバッハの『平均律』全曲やシューベルト後期ソナタ2曲など、ユニヴァーサルからの51枚組には入っていないものばかりで、彼の最も充実した演奏の記録として本家からのリリースは歓迎したい。
尚個別購入の選択肢としては英オリンピア、レジスの版権を引き継いだ米ミュージカル・コンセプツ社がマンチェスターからアルト・レーベルとしてそれぞれライセンス・リイシュー盤のリリースを続けていて、ここに収録された殆んどのレパートリーをカバーしている。
また、リヒテルのセッションの中でも最高傑作との名高い『平均律』に関しては日本盤SACDも入手可能だ。
リヒテルは生涯に亘って枚挙に暇がないくらい様々なレーベルに録音を遺している。
メジャーなところではドイツ・グラモフォン、フィリップス、デッカ、RCA、コロンビア、EMI、エラート、テルデック、オイロディスクなどだ。
ロシアでは先般集大成されたボックス・セットでも明らかなようにメロディアにも膨大な音源があるし、ライヴに至っては録音嫌いだった彼が望むと望まざるとに拘らず、演奏会場には常に録音機材が持ち込まれ、収拾がつかないほどの量の音源がCD化されてきた。
このセットにはドイツ系作曲家のレパートリーを中心にショパン、ラフマニノフ、チャイコフスキーの作品が収録されていて、いずれも彼の音楽性が最高度に発揮された演奏を良好な音質で鑑賞できる。
宮殿内部で録音されたものは潤沢な残響が含まれているが、彼が都心のコンサート・ホールを避けて、敢えて郊外の閑静な歴史的宮殿を選んでいるのは、その音響効果だけでなく演奏への霊感を高めるための手段だったのかも知れない。
CD6ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番とCD12ショパンのスケルツォ第1番にヒスノイズが入っているのが残念だが、おそらくマスター・テープに由来するもので敢えて除去しなかったと思われる。
追記 ノイズの入ったCDについて、こちらからコンプレインを出すまでもなく購入先のドイツjpcからノイズのない4枚のCD(6,8,10,12)が無料で送られてきた。
もしノイズ入りのCDが含まれていた場合は交換可能のようだ。
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