2017年03月18日

リヒテルのブラームス:ピアノ協奏曲第2番(ラインスドルフ)/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番『熱情』


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リヒテルが初めてアメリカを訪れた際の歴史的録音で、このCDの音源はリヒテル・アメリカ・デビュー盤のひとつとしてLP時代から評価の高いものだった。

この録音が行われた1960年はいわゆる冷戦下、アメリカから見れば“鉄のカーテン”で隔てられていた“東側”の演奏家が初めてアメリカに来演した年にあたる。

とりわけリヒテルの2ヵ月にわたるツアーはセンセーションを巻き起こし、RCAによるレコーディングも並行して行われた。

その初録音がここに収められたブラームスで、同年11月に収録された『熱情』ともども、リヒテル絶頂期の凄みが生々しく伝わってくる。

リヒテルは超人的技巧を駆使しながらもスケールの大きい、厳しい感情表現を示しており、特に両端楽章が立派だ。

ラインスドルフの指揮は極めて熱っぽく、オーケストラの華やかさも加えて、リヒテルとがっぷり四つに組んでいる。

過去にはラインスドルフ&シカゴ響とリヒテルの爆演のように言われたこともあるが、良く聴いてみるとシカゴ響はラインスドルフによって非常に良くコントロールされていて、力強いが野放図な音を出しているわけではなく、リヒテルも決して力に任せて対決するような姿勢ではない。

それぞれが個性を完全に燃焼させながらもぴったりと呼吸を合わせて、コンチェルトを聴く醍醐味を満喫させてくれるのだ。

そこには極めてスケールの大きい音楽的な構想を持ったピアニズムが展開されていて、両者の張り詰めた緊張感の中に溢れるほどのリリシズムを湛えた演奏が感動的だ。

またリヒテル壮年期の水も漏らさぬテクニックの冴えもさることながら、第3楽章を頂点として随所に現れる抒情の美しさは如何にも彼らしい。

一方ここにカップリングされたベートーヴェンのピアノ・ソナタ『熱情』は同年にニューヨークのカーネギー・ホールで録音されたもので、当初はもう1曲の『葬送』と共にリリースされた。

この2曲のソナタは2004年にXRCD化もされているが、リヒテルの凄まじい集中力と緊張感の持続が恐ろしいほど伝わってくる。

リヒテルは深々とした呼吸で熱っぽく弾きあげた、ダイナミックな根太い演奏で、全篇に溢れる強烈なファンタジーが魅力だ。

この曲の力強さと抒情性を、巧みに弾きわけていて見事で、全体に、極めてエネルギッシュな表現である。

彼自身はこの演奏を嫌って失敗作のように言っていたが、音楽的な造形からも、またその表現力の幅広さと強烈なダイナミズムからもベートーヴェンに相応しい曲作りで、本人であればともかくあらを探すような次元の演奏では決してない。

1960年にリヒテルはアメリカにおいて一連のセッション及びライヴから当地でのファースト・レコーディングを行っているが、このCDに収められている2曲もその時の音源で、リヴィング・ステレオの良質なオリジナル・マスターが今回のDSDリマスタリングによって更に洗練された音質で甦っている。

ソニー・クラシカル・オリジナルスは、古い音源を最新のテクニックでリマスターして、従来のCDとは異なった音響体験を提案している興味深いシリーズだが、何故か音源によってリマスタリングの方法が異なっている。

このCDではSACD用のDSD方式が採用されているが、同シリーズの総てのCDと同様レギュラー・フォーマット仕様でミッド・プライスで提供しているのがメリットだろう。

音質は鮮明で協奏曲ではシカゴ・オーケストラ・ホールの音響空間も自然に再現されているし、ソロ・ピアノも潤いのある艶やかな音色が特徴で、オーケストラとのバランスも理想的だ。

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