2017年03月22日

ビーチャムのディーリアス作品集


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トーマス・ビーチャム指揮、ロイヤル・フィルハーモニー及びロンドン・フィルハーモニーの演奏による7枚のディーリアス・オーケストラル・ワーク集のリイシュー・バジェット・ボックス化になる。

以前EMIからリリースされた『20世紀の音楽』シリーズのディーリアス編では2枚に纏められていたが、このセットではディーリアスが個人的に交流を持ち、最良の理解者でもあったビーチャムが指揮した1929年から57年にかけての総てのセッション録音が復活している。

このうち最初の2枚のみがステレオで、それ以外は擬似ステレオ及びモノラル音源になる。

勿論それぞれがリマスタリングされているが、さすがに古い音源はスクラッチ・ノイズやヒス・ノイズが多くセピア色の時代物の写真でも見ているような印象だ。

それゆえ後半の5枚はアーカイヴ・コレクションとして割り切って聴くべきだろう。

ちなみに2枚分のステレオ音源は来月ワーナーから高音質UHQCDバージョンでもリリース予定だ。

英国生まれのドイツ人、フレデリック・ディーリアス(1892-1934)の作品はともすると飽きっぽいムード音楽の連続に陥りがちだが、ビーチャムの演奏には特有の気品があり、オーソドックスだが筋の通った解釈がひとつひとつの曲に込められた作曲者の思索を明らかにしている。

ディーリアスの作品は、後期ロマン派の流れを継承しながら洗練されたオーケストレーションで自然界に起こる森羅万象を音楽に反映させた。

その意味では彼の作品の殆んどが標題音楽になるが、彼が創造する独自の空気感やその劇的な変化が大自然への強い憧憬を感じさせている。

彼の神秘的かつ映像的なサウンドが10歳年下のヴォーン・ウィリアムズに大きな影響を与えたことは事実だろう。

メランコリックなメロディーの逍遥する静謐感の巧みな描写やエスニカルなエレメントを取り入れたダイナミズムに彼の音楽語法が特徴的だが、そこに枯渇した彼自身のスピリットが追い求める内面的な安らぎと回帰すべき永遠の故郷が表現されているのではないだろうか。

例えば『ブリッグの定期市』は古いイングランド民謡を基にグレインジャーが作曲した声楽曲だが、ディーリアスは変奏曲の形にアレンジして、1年に1度開かれるブリッグの町の市場にやってくる恋人の逢瀬を美しく暗示している。

またオペラ『村のロメオとジュリエット』は現在殆んど演奏されない曲目だけに貴重で、歌手達の演奏水準は理想的でなかったにしても1948年の録音としてはノイズのない良好な音源だ。

尚19ページのライナー・ノーツには収録曲目一覧とリンドン・ジェンキンスによるディーリアスとビーチャムのコラボについて解説されているが、録音データや演奏者の詳細に関してはそれぞれのジャケット裏面にのみ表示してある。

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classicalmusic at 00:12コメント(0)トラックバック(0)ビーチャム  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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