2017年03月24日

フィッシャー=ディースカウ&ムーアのシューベルト:歌曲大全集


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シューベルトは600曲余りの歌曲を生み出し、それらのすべてに接したいと思うのはシューベルティアンの見果てぬ夢だった。

その願いを満たしてくれたのが、フィッシャー=ディースカウという超人的な歌い手によるこの大全集だった。

フィッシャー=ディースカウは古典から現代までにわたり、信じられないような量の声楽曲を歌い、演じ、録音してきたが、その膨大な録音群の中でひときわ高峰を成しているのがこのアルバムである。

勿論ここには男声用の歌曲しか収録されていないが、シューベルトの歌曲を窺う史上空前の最も重要なマイルストーンとなった。

以来別の企画でシューベルトの歌曲全集がリリースされたり、また目下進行中のシリーズもあったりするが、一歌手による一人の作曲家の作品への録音としてはレパートリーの上でも前人未到の驚異的な記録だし、今後も望めないだろう。

1966年から72年にかけての録音の集大成で、この21枚のCDに収められたシューベルトの歌曲は、3大歌曲集57曲とその他の男声用の作品406曲で構成され、その数だけでも実に463曲に及んでいる。

フィッシャー=ディースカウの声も芸術的な表現力も充実しきっていた時期の歌唱を満喫できるのが最大の魅力だが、これらの歌には、いわゆるやっつけ仕事としての歌唱がまったくないということも驚嘆すべきことだ。

ひとつひとつの曲に丹念な想いが込められ、精緻でありながら千変万化の巧みな表現と語り口調の絶妙さは傑出している。

ピアノのジェラルド・ムーアについて言えば、彼は伴奏を芸術の域に高めた功労者として知られているが、また自身の個性よりも常に曲趣と歌手の持ち味を生かすというニュートラルな立場を貫いた、まさに伴奏者の鏡のような存在だった。

彼は1967年に公開のコンサートからは退いたが、その後もこうした録音活動によって円熟期の至芸を鑑賞できるのは幸いだ。

まさにフィッシャー=ディースカウ&ムーアという稀代の名コンビによる共同作業の最高の結晶である。

更にフィッシャー=ディースカウは400曲を超えるこの大全集と前後して、わずか10年と少しの間に、ヴォルフとブラームス、シューマンの大全集の録音も行っている。

ベートーヴェンやメンデルスゾーン、レーヴェらの歌曲と合わせ、実に1000曲を超える録音を残してくれた。

フィッシャー=ディースカウは、どれほどの決意と使命感を持ってこの超人的な難事業にチャレンジしたのであろうか。

楽々と成し遂げられているように見えるが、これらは貴重な人類の宝というべきもので、奇蹟的というしかない偉業だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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