2017年04月01日

フルトヴェングラー&ウィーン・フィルのブルックナー:交響曲第4番『ロマンティック』(1951年ライヴ)、他[SACD]


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フルトヴェングラーが遺したブルックナーの交響曲第4番の音源は複数存在するが、今回プラガによってSACD化されたのが1951年のシュトゥットガルト・ライヴで、録音データについては諸説あり、このディスクのライナー・ノーツには10月20日と書かれている。

モノラル録音ながら音場にかなりの拡がりがあり低音域も豊かだが、SACD化によって奥行きも感知されるようになり、高音部の再現にも無理がない。

放送用ライヴのためか幸い雑音が極めて少なく音質も良好で、聴衆の咳払いや拍手も一切入っていない。

第1楽章冒頭のいわゆるブルックナーの霧の中に現れるホルン・ソロのミスが聞かれるので、リマスタリングに使われた音源は修正されていないオリジナル・マスターのコピーだろう。

この程度のミスはライヴにはつきもので、虚構を増長するような部分的な差し替えは、それがテクニック的に可能であったとしてもかえって興醒めしてしまう。

スコアは基本的に第3稿(1878ー80)だがレーヴェ版の第3楽章後半のカット部分を復活させて、全曲の演奏時間は66分40秒でハース版に近いものになっている。

ここでもフルトヴェングラーの自己主張が大胆に示されており、全体に極めて劇的な表現をつくり、緩急自在のテンポ感覚に情念が渦巻くようなディナーミクの変化が相俟ってかなり個性的なブルックナーに仕上げられている。

第1楽章から自在な解釈が面白く、聴衆を彼の世界に引き込んでいく変幻自在な指揮法が際立っているが、それに従うウィーン・フィルの特質も浮き彫りにされている。

圧巻は終楽章で、壮麗なうちに感動に満ちたものとなっており、精神の高揚と解放が生き生きと表されている。

大自然の抱擁をイメージさせる弦の温もりやウィンナ・ホルンを始めとするブラス・セクションの渋い音色の咆哮は、より輝かしいサウンドのベルリン・フィルとは対照的で、荘厳な雰囲気の中に導かれる終楽章のカタルシスは理屈抜きで感動的だ。

この曲はウィーン・フィルが初演した作品でもあり、彼らにも伝統を受け継ぐ自負と限りない愛着があったに違いない。

通常ブルックナーの歴史的名盤としては採り上げられないが、一般に考えられているブルックナーとは異なるロマン派の演奏様式としても尊重すべきであり、フルトヴェングラー・ファンだけにキープしておくには勿体ない演奏だ。

ブルックナーらしくないという意見も出ようが、ここまで音楽的になり、豊かな創造性を持つとこれはこれで立派な存在理由がある。

余白にカップリングされたワーグナーの『パルジファル』第3幕から「聖金曜日の音楽」は、同年4月25日のカイロ・ライヴとクレジットされていて、オーケストラはベルリン・フィルになる。

音質に関してだがオーケストラの音響の再生自体は擬似ステレオだが悪くなく、またベルリン・フィルのメンバーの巧みなソロも聴きどころだが、ヒス・ノイズが全体にベールのようにかかっていてやや煩わしいのが残念だ。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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