2017年04月07日

『スカラ座の黄金期』第1集(日本語字幕付)[DVD]


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イタリアのジャーナリスト、エンツォ・ビアージのインタビューによる、黄金期のスカラ座を支えた人々の回想で構成されている。

回想と言っても、例えば冒頭に扱われているワーグナーの『ローエングリン』上演を準備するアバドと演出家シュトレーラーは、1981年当時のリアルタイムのインタビューで、この頃盛んになったドイツ物の上演への情熱と意気込みを伝えるエピソードが興味深い。

イタリア物ではヴェルディの『シモン・ボッカネグラ』もアバドの時代にスカラ座でのレパートリーとして定着するが、ここにはカップッチッリやギャウロフとの下稽古も収録されている。

また対象を決して有名人ばかりに限定しないビアージの眼力は流石で、本番の舞台には現われることのなかった縁の下の力持ちとしての合唱指揮者ロマーノ・ガンドルフォなど歌手だけでなくスタッフ一同が持っているスカラ座への強い誇りと愛着を伝える作品に仕上がっている。

後半は更に一世代前の歌手達、カラス、シミオナート、デル・モナコ、ディ・ステファノなどの回想録になる。

マリア・カラスへの短いインタビューで、彼女はスカラ座でのオペラ上演について、多くの人々がそれぞれの主張を通しながらひとつのオペラを創り上げる過程では衝突も避けられないと語りながら、誰を攻撃することもなく、また自分自身の正当性の強調もしていない。

指揮者アントニオ・ヴォットーの回想によればテバルディとカラス間の激しいライバル意識は実際あったにしても、世間によって大袈裟にされてしまったようだ。

しかし彼女と親しかったディ・ステファノへのかなり長いインタビューの中で、彼はカラスが周到な策謀家であったことを証言している。

つまり自分が利用できると思える人物には、ディプロマティックな手段を巧みに使って取り入ったということで、その1人が『椿姫』を演出したルキーノ・ヴィスコンティだった。

動画で貴重なシーンはシミオナートとフランコ・コレッリの『カヴァレリア・ルスティカーナ』のピアノ伴奏による舞台稽古が入っている。

彼女はサントゥッツァを得意の役柄としていたが、トスカニーニからはつまらない作品で声を台無しにするから歌わないように忠告されていたというエピソードは初めて聞いた。

イタリア・ダイナミックからリリース予定の『スカラ座の黄金期』と題された3巻のDVDの第1集になり、リージョン・フリーで言語はイタリア語のみだが、サブ・タイトルは伊、英、独、仏及び日本語が選択できる。

日本語の字幕スーパーはいくらかぶっきらぼうで決してインタビューの総てを逐一訳出したものではなく、もう少し丁寧な訳が望まれる。

全体の収録時間は87分ほどで、イタリア語と英語のライナー・ノーツ付。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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