2017年04月15日
テバルディ/デッカへの全録音集
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かつてマリア・カラスと熾烈なライバル意識に火花を散らせたイタリアのソプラノ、レナータ・テバルディのデッカへの全録音がまとめられた。
カラスの全集は既にEMIから豪華なリマスタリング盤がリリースされているが、テバルディに関してはオペラ全曲盤は別として、その実力のわりに正規のセット物は少なく、今回の66枚組もいたってシンプルな廉価盤仕様になっている。
しかし演奏内容は恐るべきものがあって、彼女が不世出のソプラノであったことが今更ながら証明される結果になった。
この時代のオペラ歌手達は声だけで演技するすべを心得ていたが、更に明るく輝かしい美声と伝統的なカンタービレを堪能させてくれたのがテバルディだった。
中でもヴェルディの高貴な役柄は絶品で、これだけのスケールで大舞台を創り上げる歌手は現在に至るまで見出すことができないだろう。
彼女の至芸は、声の魅力を極限まで活かすことが最高の表現力につながるという、まさにイタリアの正統的な歌唱法に則っている。
そしてその歌はスタイリッシュだが時代を超越していて、むしろイタリア・オペラが目指したひとつの究極の姿を示していると言っても過言ではないだろう。
テバルディの共演者達も特筆される。
当時の歌手達にはレコード会社とのかなり厳格な専属制がとられていたので、デッカ制作のオペラであれば常に同様の専属メンバーが顔を合わせることになる。
メゾ・ソプラノのシミオナート、テノールのデル・モナコ、ベルゴンツィ、バリトンのバスティアニーニ、プロッティ、バスのシエピなど超豪華キャストに恵まれていたのも幸いだった。
奇しくもこの全集は彼らの演奏に捧げられることにもなっている。
例外としては1957年にビョルリンク、バスティアニーニと組んだCD22『カヴァレリア・ルスティカーナ』や1965年のベルゴンツィ、フィッシャー=ディースカウとの『ドン・カルロ』CD44−46などがある。
ライナー・ノーツは147ページほどだが、殆んどの部分が演奏曲目と録音データに費やされていて、最後に英、仏、独語によるごく簡易なテバルディのキャリアが掲載されている。
彼女がデッカに録音したオペラ全曲盤はプッチーニの『三部作』を1曲と数えると全部で25曲で、そのうち『ボエーム』『蝶々夫人』『トスカ』『アイーダ』『仮面舞踏会』『オテロ』については新旧2種類ずつの音源があり、そのすべてがここに網羅されている。
尚CD54からがアリア及び歌曲集で、最後の2枚のボーナスCD65及び66が1951年スカラ座ライヴからの、デ・サーバタ指揮によるヴェルディの『レクイエム』がデッカの正規初りリースになる。
ボックス・サイズは縦13X横13X奥行き13,5cmで、CDはそれぞれが素っ気ない、デザインなしのスリーブ・ジャケットに挿入されていて、コレクション用装丁とは言えない。
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