2017年04月17日

ハーゲンSQのヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番&第2番/ヴォルフ:イタリア風セレナード


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若いグループながら、ずいぶん早くから活躍し、その力を高く評価されていたハーゲン弦楽四重奏団の名を一躍高らしめた演奏で、真にその実力を世間に認知させた名盤である。

ヤナーチェクの《クロイツェル・ソナタ》と《ないしょの手紙》という表題をもった2つの弦楽四重奏曲は、激しい起伏に富んだ表現主義的作品だ。

これら2曲の弦楽四重奏曲は、チェコ国民楽派のなかでも特異な存在として知られるヤナーチェクが、その晩年に38歳も年下の人妻カミラ・シュテスロヴァーと深い恋愛関係に落ちたことを機縁に作曲された。

恋愛というものに潜む悲劇性や甘美な思い、さらには不安や憧れという微妙な情感が、モラヴィアの民俗音楽や言語性から吸収した独自の語法と奔放とも言える自由な筆致で、見事に描き尽くされる。

ラルースの音楽辞典は、「チェコの口語を解すること」をヤナーチェク演奏者の条件として挙げているが、母国の団体の演奏はぬるま湯に浸かっているみたいで面白くない。

ハーゲンSQのCDは、この音楽に1つの演奏様式を確立したと評していい名演で、バルトークの音楽とジュリアードSQの出逢いに似ている。

1988年録音であるが、彼らは自分たちが20世紀末に生きている演奏家であることを強烈に自覚しているようで、単に民族主義的な作品としてではなく、むしろ現代音楽として扱っている気配すらある。

このオーストリアの若い弦楽四重奏団のメンバーに、老人が抱いた複雑な恋愛の感情がどれほど理解できるのかわからないが、彼らによって奏でられた情熱あふれる音楽は、一個人の思いを突き抜けて、恋愛感情の深層を赤裸々に描き切る。

そのシャープな現代的センス、厳しささえ感じさせる鮮烈な音色、どこまでも核心に迫ろうとする気迫の鋭さ、ヤナーチェクの内面を表現し尽くそうとでも言わんばかりの旺盛な表現意欲、音楽構造に対する的確な反応などによって、これらの作品にまさに今日的意味を与えている。

そして彼らは、これらの音楽から国民主義的性格を超えたかつてないほどの表現主義的な意味を見事に浮かび上がらせ、20世紀のものであるということを徹底的に認識させてくれる。

《クロイツェル・ソナタ》では、4つの楽器が極めて強く自己主張し、それがヤナーチェクの作曲語法やこの作品の構成を明らかにする上で大きな力になっている。

加えてトルストイの小説にヒントを得た標題音楽としての劇的発展や、主人公たちの心理的葛藤までも見事に表現している。

《ないしょの手紙》も表現主義的な趣をもって開始される冒頭からもうかがえるように、内声部の表現の豊かさが見事だ。

作曲家ヤナーチェクの心の叫びは、そのまま彼らの叫びとなって演奏そのものに内燃しており、切々たる愛を訴える激しいスル・ポンティチェロ奏法は、各楽器に受け継がれ、作曲家の想いを託して、聴く者の心に突き刺さるように打ちこまれる。

ヴォルフも見逃せない快演で、ややこじんまりとしているものの、爽やかな抒情性が魅力をもっている。

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