2017年05月03日

リヒテルのハイドン&ウェーバー&ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集


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演奏自体はリヒテル全盛期の最も充実したパフォーマンスとして価値の高いものだが、ライナー・ノーツの最後に掲載されている録音データは根拠に欠けている。

11セット計22枚のリヒテル・ザ・マスター・シリーズは、フィリップスとデッカのセッション及びライヴからの音源を掻き集めたものなので、おそらく編集側も混乱をきたしていることが考えられる。

リヒテルの生涯に亘るコンサート活動のクロノロジーとディスコグラフィーを照合すると1993年に、このCDに収められたハイドンやウェーバーを演奏した可能性は少ない。

良く調べてみるとハイドンのソナタ第39番は、1985年3月6日及び7日のフライブルクでのライヴから採られたもので、このセットではこれが一番新しい録音になる。

ハイドンの第62番とベートーヴェンの第12番は1966年11月19日のフェッラーラでのライヴ、一方ウェーバーの第3番は1966年9月8日のロカルノの聖フランチェスコ教会で行ったライヴ、更にベートーヴェンの第9番と第11番は1963年6月から7月にかけてパリでフィリップスに入れたセッションだ。

最後の同第27番は1965年8月21日のザルツブルク・ライヴということになる。

僅か2枚のCDにこれだけ多くの異なった音源が入り乱れているのも、ある意味ではセッションを嫌ったリヒテルのCDの特色を暗示しているようで興味深い。

2曲のハイドンのソナタでは、古典派の音楽としての明確な曲想をきめ細かな創意工夫で、新鮮な面白みと巧みな演奏効果を上げているのが特徴的だ。

こうしたレパートリーは他のピアニストがそれほど食指を動かさないこともあって、彼の音楽性のオリジナリティーを自在に発揮している典型的な例と言える。

ウェーバーのソナタも比較的珍しいレパートリーで、名の通ったピアニストではギャリック・オールソンがソナタ全集をハイペリオンからリリースしているのが唯一のサンプルだが、リヒテルはリリシズムにおいてオールソンを凌駕している。

それはオペラ作曲家としてのウェーバーの音楽を体現しているからに他ならない。

リヒテルは少なくともモスクワ音楽院に入学するまでの少年時代は、地方でオペラの伴奏ピアニストとしての経験を積んでいた。

そうした体験が育んだ歌心の表出が活かされているのではないだろうか。

ベートーヴェンのソナタは前述したように総て1960年代の録音で、彼がアメリカでのデビューを飾った後、破竹の勢いでヨーロッパ各地においてリサイタルを開き始めた頃の典型的な奏法を聴くことができる。

骨太でしかも特有の温かみがあり、またヴィルトゥオジティの見せ場にも欠けていない。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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