2017年05月07日

バーンスタイン&ウィーン・フィルの交響曲選集(8枚組)


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バーンスタインが客演指揮者として初めてウィーン・フィルを振ったのは彼が48歳だった1966年で、それ以降両者の良好な関係は絶えることなく続いたが、この8枚の交響曲集でも1979年から1990年までの彼らの最良のコラボが記録されている。

バーンスタインは円熟期になるとそれまでの汗を飛ばしながら指揮台でジャンプするようなパッショネイトな表現に加えて壮大なリリシズムを湛えた演奏をするようになり、ウィーン・フィルが持っている弦のしなやかさや渋めのブラス・セクションの音色が相俟って醸し出される官能的だがシックなサウンドが特有の雰囲気を創造していた。

それはこのセットに収録されている彼の十八番「アダージェット」を含むマーラーの交響曲第5番だけでなく、ベートーヴェンの第9番第3楽章やブルックナーの第9番第3楽章、更にはシベリウスの第1番にも顕著で、こうした曲をこれだけセンシュアルに響かせた例も珍しいのではないだろうか。

収録曲総てがライヴ録音であるためにバーンスタインのカリスマ的な魅力も伝わってくるが、幸い聴衆からの雑音は入っていない。

ベートーヴェンの第9番でバーンスタインはテンポをかなり抑えてウェットに練り上げた濃厚で変化に富んだ音楽の再現を試みている。

全体的に確かに隙のない解釈だが、作曲家がこの曲に注ぎ込んだストレートな力強さの表出という点では幾らか手が込み過ぎていて、厚化粧の誹りを免れないだろう。

終楽章「歓喜の歌」での4人のソリストとコーラスは殆んど限界の一歩手前まで歌わされているという感じがしないでもない。

会場になったシュターツオーパーの音響も関係しているだろうが、音質はこのセットに収録された他の曲に比較してやや録音レベルが低い。

ウィーン・フィルのような古い伝統を引っ提げたプライドの高いオーケストラを統率するのは容易ではない筈だが、中でもハイドン、モーツァルト、ブルックナーそしてマーラーの作品は彼らにとっても一家言持った郷土の作曲家だけに、指揮者は自分の解釈に従わせるだけでなく彼らの自主性を最大限尊重した協力関係が欠かせない。

そこにはウィーン・フィルと決別したカルロス・クライバーとは対照的なバーンスタインのディプロマティックな性格も裏付けられている。

ハイドン、モーツァルトでも常に機知に富んだ熱のこもった演奏だが、古典的な起承転結をわきまえた造形美にも不足していない。

彼のブルックナー第9番を一大叙事詩に喩えるならマーラーの第5番はさしずめ壮麗な抒情詩と言えないだろうか。

バーンスタインは自身作曲家であったために多くの同時代の作品もレパートリーにしていたが、ここで一番新しいものはショスタコーヴィチの2曲の交響曲で、第6番では彼の明晰でしかも繊細な感性を反映させたスペクタクルな仕上がりが美しく、第9番ではミュージカルや映画音楽を髣髴とさせるような軽妙な味わいがある。

それはウィーン・フィルが得意とする高度に洗練されたユーモアと遊び心にも共通している。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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