2017年06月12日
レ・ヴァン・フランセーのフランス及び20世紀の作品集
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この作品集ではレギュラー・メンバーのピアニスト、エリック・ル・サージュが参加しない、純粋な管楽器のみのアンサンブル作品10曲を採り上げているが、レ・ヴァン・フランセーの面目躍如たる名演と評価したい。
メンバーの5人は言わずと知れた名ソリスト達だが、アンサンブルの難しさは個人の技量よりもむしろ個性を抑制して相手に合わせる協調性にあるため、名人が集ったからといって理想的な演奏になるとは限らない。
しかし彼らはそれぞれがヨーロッパの名立たるオーケストラに所属している首席奏者であるためにそのあたりも絶妙に心得ていて、合奏としての高度な愉悦と優れた芸術性も体験させてくれるのは流石だ。
このCDに収録された作品は、他に比較鑑賞する同時代の優れたサンプルが少ないので、やはりフランスのモラゲス五重奏団がリリースした20世紀のウィンド・アンサンブル集と聴き比べてみた。
そちらのアルバムにもリゲティ、バーバー及びヒンデミットの3曲の同一曲が収録されていて、ウィンド・アンサンブル入門者には有力な選択肢と言える。
両者を聴き比べてみると、確かにレ・ヴァン・フランセーの音色にはスター性を持った華やかさがあり、幅広い表現力も魅力的だが、アンサンブルの巧みさではモラゲスも決して劣ってはいない。
しかも彼らがこのアルバムを録音したのが1991年であることを考慮すると、より前衛的な曲目を積極的に採り入れた斬新な啓蒙性ではモラゲスが優っていると言えるだろう。
それに比べるとレ・ヴァン・フランセーのレパートリーはやや万人向けの傾向が無きにしも非ずだ。
レ・ヴァン・フランセーは1993年に南フランスの小都市サロン・ド・プロヴァンスでの国際室内楽音楽祭を企画したエマニュエル・パユ達によって同年に結成されたウィンド・アンサンブルだが、20年を経過して彼らの演奏活動は益々インターナショナルなものになっているし、その芸術性も一層成熟してレパートリーも豊富だ。
一般的に管楽器に関しては歴史的にもフランス系のソリストが圧倒的な能力を発揮していて、ソロ、アンサンブル、オーケストラル・ワークのジャンルを問わず、彼ら特有の音色と奏法でその存在感を示している。
こうしたスター・プレイヤーの多くはレギュラーのアンサンブルの中で定期的な演奏活動をしているのはむしろ例外で、機会に応じて集う臨時の室内楽団が多い。
古くはランパル、ピエルロ、ランスロなどによるフランス管楽アンサンブルがその例だが、一方固定したメンバーによる室内楽では前記したモラゲス兄弟を中心とするモラゲス五重奏団が少ないながら優れたCDをリリースしている。
そうした中でより継続的なアルバムを制作しているのがレ・ヴァン・フランセーで、これからの彼らの演奏活動にも期待したい。
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