2017年06月14日
ベーム&シュターツカペレ・ドレスデンのコンプリート・エレクトローラ音源
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ここ数年間でカール・ベーム円熟期を代表する演奏のバジェット・ボックスが次々とリリースされている。
ユニヴァーサル・イタリーからの交響曲集22枚、ドイツ・グラモフォンからの後期録音集23枚及びグレイト・レコーディングス17枚の3セットを揃えると、オペラ全曲盤は別としても彼のオーケストラル・ワークでの公式セッション録音の殆んどを網羅することが可能だ。
それらは比較的録音状態にも恵まれているが、オールド・ファンやコレクターにとってはその前の着々とキャリアを積んでいた壮年期の演奏も聴き逃せない。
確かにノイズに塗れた録音も多く入門者にはお薦めできないが、ベームの解釈や指揮法の変遷を知りたい方にとっては非常に貴重なサンプルだろう。
彼はフリッツ・ブッシュの後を継いで1934年にシュターツカペレ・ドレスデンのカペルマイスターに就任するが、この時代のエレクトローラへの全音源がCD1から14までに収録されている。
その後ベームはウィーン・シュターツオーパーに活動を移し、彼らとのエレクトローラ、HMVへの録音が後半の4枚に、そしてベルリン・フィル及びフィルハーモニアへの客演が1枚強という内訳になっている。
この時代既にベームはリヒャルト・シュトラウスからも絶大な信頼を得ていて、彼がドレスデンで初演した年の『ダフネ』の抜粋や交響詩『ティル』『ドン・ファン』、オペラでは『サロメ』『薔薇の騎士』などでその片鱗を窺うことができる。
戦前から戦後にかけてオーケストラル・ワークを中心にしたレパートリーだけでもこれだけの録音を遺しているという事実は、如何に彼の手腕が買われていたかという証明でもある。
このセットの中で最も古い演奏は彼がドレスデンに就任した直後1935年のベートーヴェンの『エグモント序曲』とロルツィングの喜歌劇からの2曲で、一番新しいものでもセットの後半に収録されている1949年のウィーン・フィルとのモーツァルトを中心としたプログラムになる。
ここでのオペラや声楽曲はごく一部だが、爆撃で瓦礫の山に帰す前のゼンパーオーパーが如何に精彩に富んだレパートリーの上演を敢行していたか想像に難くない。
ライナー・ノーツ巻末にはこのセットに使用されたオリジナル音源の出典一覧表がオーケストラごとに掲載されている。
尚総てがモノラル録音で、オペラはドイツ語及びドイツ語訳詞による歌唱。
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