2017年06月22日

アルテミスSQのベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集


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現代ドイツを代表するカルテット、アルテミス弦楽四重奏団が1998年に開始し、途中2人のメンバー・チェンジを経て2011年に完成させたベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集。

1989年にドイツのリューベックで結成されたアルテミス弦楽四重奏団は、アルバン・ベルク弦楽四重奏団の面々や、ラサール弦楽四重奏団のワルター・レヴィンに師事し、エマーソン弦楽四重奏団やジュリアード弦楽四重奏団からも大きな影響を受けている。

活動が本格的になったのは1994年頃からで、1996年にはミュンヘン国際音楽コンクールで優勝、翌1997年、プレミオ・パオロ・ボルチアーニ弦楽四重奏国際コンクールでも優勝し、その圧倒的な実力を世に示した。

以後、ヴァイオリンとヴィオラのメンバー・チェンジを経て現在に至り、ますます高まる演奏能力によって、世界各国で高い評価を獲得している。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の録音史を考えると1978〜1983年に完成されたアルバン・ベルク弦楽四重奏団の最初の全集が1つのターニングポイントと言えるところであり、圧倒的な技術とシンフォニーのような音量、雄大なダイナミックレンジと機敏で明晰な解釈で、一世を風靡した。

以後、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を録音するにあたっては、アルバン・ベルク弦楽四重奏団とは違った新しい価値をどのように達成するか、というのが1つの基準になる。

そこで、このアルテミス弦楽四重奏団の録音であるが、彼らも豊かな音量を誇っており、そういった意味でスケールの大きい、室内楽的範疇に収まらない演奏を繰り広げているが、併せて、きわめて緊密なやり取りを高度な制御により行っている点が凄い。

彼らの演奏は力強くシャープで、広大なダイナミックレンジを持つが、長年に渡って研鑽を積んだ合奏能力はきわめて高度なものであり、このベートーヴェン録音シリーズでも、そのパワーを遺憾なく発揮すると同時に、細部に至るまで作品情報が掌握されていることが大きなプラスになっている。

チェロのエカルト・ルンゲはベートーヴェンについて、「最もモダン、刺激的、実験的そして豪胆な作曲家」と語っていたが、彼らのベートーヴェン演奏からはそうした積極的な要素が強く感じられるのがポイントで、このスタンスの徹底により、彼らの全集は、大きい存在感を獲得している。

そうして彼らが獲得した自然な歌謡性は、アルバン・ベルク弦楽四重奏団ではやや乏しく感じられたものである。

聴いていて「潤う」成分が欲しいリスナーには、このアルテミス弦楽四重奏団の演奏は、絶好の録音と言える。

個人的に強く印象に残ったのは、飛躍を感じさせる充実感に満ちた第5番、弦楽四重奏曲の概念を覆した名曲に相応しい壮大さを感じさせる第7番、アコースティックな暖かみを十全に感じさせてくれる第12番の3曲。

逆に、やや物足りないと思った曲としては、均質性に配慮しているが、もう一歩力強い踏み込みが欲しかった第14番、弦楽器的なサウンドに徹しているが、より活発さの欲しかったヘ長調Hess34の2曲を挙げる。

しかし、全般に現代的でシャープな感性で押し切った、素晴らしい内容の濃い全集であり、その平均的な質の高さは驚異的なものと言って良く、全集として強く推薦したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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