2017年07月18日

残り物には福がある、マーキュリー・リヴィング・プレゼンス第3弾


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マーキュリー・レーベルが誇った高音質録音のリイシュー・バジェット・シリーズも第3巻目になり、今回もCD53枚の大挙放出だが、さすがに玉石混交でいくらか際物的な曲目や演奏が連綿と続いている印象は否めない。

前半はマーキュリーの申し子のようなアンタル・ドラティ指揮、ミネアポリス交響楽団がこれでもかと続き、フレデリック・フェネルのセミ・クラシックや軽音楽も満載されている。

しかし相変わらず音質に関しては時代を超越した鮮烈さと臨場感があり、演奏も多少時代の趣味を反映しているとは言え決してがっかりさせないだけの立派な内容を揃えている。

どの1枚を聴いても当時のマーキュリー独自のポリシーや録音チーム、エンジニア達の息吹きが伝わって来ない録音はない。

演奏曲目で見れば今回は入門者向きではないかも知れないが、言ってみればアメリカがオーディオに最も贅を尽くした時代の遺産として音響マニアには充分に意義のある貴重なコレクションだろう。

皮肉にも彼らの録音方法はシンプルを極めていて、マーキュリーの専売特許的な3本吊りマイクロフォンと3トラック・テープがその秘訣になっていることに変わりない。

人間の聴覚に最も効果的に捉えられるために編み出された手法と、半世紀も前のミキシング技術によるリヴィング・プレゼンスの音源が、現代の下手な録音を凌駕するだけの音響を誇っているのは紛れもない事実だ。

オールド・ファンに興味深いものに初CD化された12枚がある。

CD15はフェネルがヴィクター・ハーバードの小品集を振ったもので1960年のステレオ録音。CD38−40はドラティ、ミネアポリスのコンビによるヒネステーラ、ブリテン、コープランド、レスピーギ作品集で1954年のモノラル録音になり、CD43も彼らの演奏によるベートーヴェンの『英雄』だがこれは1957年のステレオ録音だ。

CD48はロメロ親子のギター四重奏団による1966年のフラメンコ集、CD49はネヴィル・マリナー、ザ・ロンドン・ストリングスがヴィヴァルディ、ヘンデル、テレマンを演奏した1965年のバロック音楽集、CD50がフェネル、イーストマン・ウィンド・アンサンブルによる1957年のヒンデミット、シェーンベルク、ストラヴィンスキーなどの20世紀の吹奏楽集。

CD52及び53はボーナス盤で、前者が再びドラティ、ミネアポリスの1954年のモノ録音でチャイコフスキーの『序曲1812年』と『イタリア奇想曲』、後者はボロディン四重奏団が1962年に録音したショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第4番ニ長調及び第8番ハ短調ということになる。

またLPとしてもこれまでにリリースされなかった音源がCD26のトラック13、グリンカの『ホタ・アラゴネサ』で、チャールズ・マッケラス指揮、ロンドン交響楽団の演奏だ。

尚リリース間際まで未定になっていたCD24及び25にはハワード・ハンソン作曲『メリー・マウント組曲』『モザイク』『フォア・ザ・ファースト・タイム』の3曲を作曲者自身の解説と指揮、イーストマン=ロチェスター管弦楽団とイーストマン・フィルハーモニアの演奏で収録している。

これらの曲目自体は第1巻のCD8に収録済みだが、パート別に分解して彼のオーケストレーションのテクニックとその音響効果を聴かせる方法は、さしづめアメリカ版『青少年のための管弦楽入門』と言ったところだ。

その鮮明な音質、楽器の定位、分離状態の良さには実際舌を巻く。

CD27にはポール・パレー指揮、デトロイト交響楽団によるベルリオーズの『幻想交響曲』その他が組み込まれたが、これらは過去にもCD化されているし、第1巻のCD15と同一音源だ。

このセットで大活躍しているオーケストラにミネアポリスとデトロイトのふたつの交響楽団が挙げられる。

いずれもアメリカを代表するオーケストラで現在でも彼らは高い評価を受けている。

ミネアポリスは後にミネソタ交響楽団と改名しているが、首席指揮者はドラティの前にオーマンディとミトロプーロスが、そして彼の後にスクロヴァチェフスキーやネヴィル・マリナーが就任している。

彼らの演奏を聴いていると、その余りにも屈託のないサウンドに驚かされるが、それは当時のアメリカのオーケストラを象徴しているのかも知れない。

一方ミシガン州デトロイト市は最近市役所から破綻申請が出されたにも拘らず、楽団の方は健在らしくネーメ・ヤルヴィの後を継いだ音楽監督はレナード・スラットキンのようだ。

デトロイト交響楽団はポール・パレー時代に黄金期を迎えアメリカでも有数のオーケストラに成長し、マーキュリーには名演として評価されている録音も少なからずあるが、今回もCD9枚が彼らの演奏に当てられている。

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classicalmusic at 00:44コメント(0)ドラティ  

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