2017年11月06日

ピアティゴルスキーの快演3曲、(但し総てが擬似ステレオ)


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このディスクはプラガ・ディジタルスのレギュラー・フォーマット盤で、従来のSACDシリーズではないことを断わっておく。

ライナー・ノーツにはフリッツ・ライナーの指揮するブラームスとサン=サーンスが1961年にニューヨークで、シャルル・ミュンシュ指揮のブロッホが1957年にボストンでそれぞれ録音され、エンジェル・レーベル原盤と記載されている。

またケース裏面にはスタジオ・ステレオ・レコーディングからのリマスターと書かれているが、実際鑑賞してみると明らかにモノラル録音の擬似ステレオ化であることが感知される。

EMIでは1958年から正規のステレオLP盤の販売を始めているので、これらのオリジナル・マスター・テープが複数トラックで録音された可能性は考えられるが、このCDがどういう経緯で擬似ステレオ・マスターを使ったのかは知る由もない。

ごく一部に経年劣化と思われる音の揺れが聞かれるが、音質自体は良好で特にソロ楽器はモノラル最後期の鮮明で芯のあるサウンドが甦っている。

いずれもピアティゴルスキー50代円熟期の演奏で、気力の充実した自由闊達な奏法と流暢なテクニックが示されている。

またブラームスの二重協奏曲では同郷出身のミルシテインが巧妙に合わせた力強くもしなやかなデュエットが聴きどころだろう。

ブラームスとサン=サーンスではライナーの厳格な統率と思い切りの良いダイナミズムがサポートするRCAヴィクター交響楽団からも伝わってくる。

一方ブロッホのヘブライ狂詩曲は大規模なオーケストレーションからミュンシュによって引き出されるカラフルなサウンドをバックに浮かび上がるピアティゴルスキーの鮮やかなソロが印象的で、この作品の哲学的というよりはむしろ表現主義的なプロフィールを強調した解釈にも説得力がある。

20世紀前半のアメリカは音楽家も移民系が圧倒的な実力を発揮した時代で、指揮者のトスカニーニ、オーマンディ、ライナー、ヴァイオリニストのハイフェッツ、ミルシテイン、チェリストのフォイアーマン、ピアティゴルスキー、ピアニストではホロヴィッツやゼルキン、オペラではカルーソを始めとするイタリア勢というように枚挙に暇がない。

その殆んどが市民権を得てアメリカに永住している。奇しくもこのディスクの3人の演奏家、ライナー、ピアティゴルスキー及びミルシテインがそれを象徴している。

彼らにしてみれば当初はより開かれた演奏活動の新天地を切り開くための渡米だったに違いないが、結果的に彼らはアメリカ生まれのニュー・ジェネレーションの後継者たちを着実に養成することになり、ヨーロッパに対抗できるだけの楽壇のレベルに導いた貢献者でもあり、現代のアメリカ・クラシック音楽界の基礎を創ったといっても過言ではないだろう。

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classicalmusic at 03:35コメント(0)サン=サーンス | ミルシテイン 

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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