2017年11月23日

エドゥアール・ラロのエキゾチックな作品集、プラガからのSACD盤


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フランス・ロマン派の作曲家エドゥアール・ラロ(1823-1892)は寡作だったが、異国情緒を巧みに取り入れた魅力的な作品を遺している。

第1曲目の歌劇『イスの王』序曲は、エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団がジュネーヴのヴィクトリア・ホールで録音した、この曲の理想的な名演のひとつだろう。

幸い1960年のステレオ録音で、オペラの台本の持つブルターニュ地方のケルト伝説の幻想性と風雲急を告げるドラマティックな演奏で強烈な印象をもたらしている。

またアンセルメのワイドな音響空間を意識した指揮法も巧みだ。

ワーグナー全盛期の影響がラロの作品にも表れていて『タンホイザー』の巡礼のコーラスのモチーフの剽窃さえ容易に聴き取ることができる。

海底に沈みゆく都市の救済に自らを犠牲にするマルガレードの行為は、同じケルト伝説の『トリスタンとイゾルデ』や幽霊船伝説からの『さまよえるオランダ人』にワーグナーが好んで扱った典型的な自己犠牲のストーリーでもある。

ラロの代表作になる『スペイン交響曲』は同じバスク人のヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテに献呈された。

バスクに先祖を持つ2人がこの作品を通じて大成功を収めたのも何かの因縁かも知れない。

交響曲の名を冠してはいるが、事実上のヴァイオリン協奏曲で華麗な技巧的パッセージやハバネラなどのスペイン特有の民族的なリズムが効果的にちりばめられていて、短調で書かれているにも拘らずその明るく情熱的な曲想が親しみ易い。

ここに収録された全盛期のアイザック・スターンのソロとユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団のサポートによるゴージャスな演奏も歴史的録音と言えるだろう。

スターンの艶やかなヴァイオリンの音色と完璧にバランスのとれたテクニックを支えるオーマンディの民族色に偏らない普遍的な表現は流石に巧い。

1956年収録だが歴としたステレオ録音で、SACD化で更に鮮明な音質が甦っている。

ラロはエキゾチックな曲趣を好んで『スペイン交響曲』の後に『ノルーウェイ幻想曲』も作曲しているが、最後の『ロシア協奏曲』も彼の4曲目になる実質的なヴァイオリン協奏曲だ。

それまでの3曲は盟友サラサーテが初演を飾っているが、この時はサラサーテから演奏を拒否されたようだ。

その理由はアクロバティックな妙技を披露してヨーロッパ中で大喝采を浴びてきたサラサーテにとって、『ロシア協奏曲』は地味で演奏効果に乏しい曲に思えたからだろう。

これは遡ってベルリオーズの『イタリアのハロルド』と依頼人のパガニーニの関係に酷似している。

伴奏者ジェラルド・ムーアはサラサーテ自身の曲の伴奏部分の音楽的貧困さを痛烈に批判しているが、サラサーテにとっては自分の舞台に完璧に奉仕し、ヴァイオリンのテクニックを最高に引き立てる曲でなければ倦怠感を覚えたことは想像に難くない。

しかしここでのソロを弾くジェラール・プーレとヴラディミール・ヴァーレク指揮、チェコ放送管弦楽団の演奏は、この曲の超絶技巧だけではないスラヴ民謡から採り入れたリリカルな情緒や美しいカンタービレの魅力を明らかにして、決してインスピレーションを欠いた作品でないことを証明している。

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classicalmusic at 21:47コメント(0)アンセルメ | スターン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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