2017年11月27日

イタリア・オペラ蘇生への使命感、原典主義を貫いたムーティ・オペラの総決算


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リッカルド・ムーティのオペラ全曲録音のシリーズでは、今年になってワーナーからヴェルディの11曲のオペラを纏めたDVD付28枚のバジェット・ボックスがリリースされた。

このソニー盤はその後の彼のオペラ上演の総決算とも言えるライヴ録音による9曲のオペラ全曲盤とオーケストラル・ワークのセッションを加えた28枚のセットになる。

ムーティの劇場作品への深い理解と若い頃から絶えず持ち続けたオペラに対する強い情熱、とりわけイタリア・オペラ蘇生への使命感を示している。

彼は過去の歌手達によって美声や超絶技巧誇示のために、原形を留めないくらい歪められてしまった作品の本来の姿を復元することに腐心した。

それゆえ劇中での個々のシーンの突出を避け、歌による表現と文学的ストーリーの展開に最大限の整合性を求め、総合芸術としての価値の蘇生を試みた。

それは奇しくも大歌手が綺羅星の如く現れて、その美声を競ったオペラ黄金時代の終焉の時期でもあった。

ムーティは歌手達を舞台上のスターとしてではなく、敢然と自分の持ち駒として扱っている。

その点が彼の前の時代のオペラ全曲録音と決定的に異なっている。

またそれまでの集客を優先した定番オペラの上演を見直し、知られざる名曲の発掘にも余念がない。

オーケストラル・ワークで興味深いのは、スカラ座フィルハーモニーとの2枚のヴェルディ序曲集、プッチーニ、カタラーニ、ポンキェッリなどのイタリア・オペラの作曲家による管弦楽曲集で、ムーティがスカラ座音楽監督時代に築き上げたコラボで彼らが最も得意とする曲目を採り上げている。

ソプラノのミレッラ・フレーニを迎えたマルトゥッチの『思い出の歌』も滅多に上演されないが、後のマーラーを予感させる比類のない美しさがある。

またムーティの学生時代の恩師であり、良き助言者だったニーノ・ロータの作品集も2枚ほどあり、母国の作曲家の作品に対する深い敬意と愛着も感じられる。

スカラ座管弦楽団を劇場付属のオーケストラから独立させて、独自の演奏活動を行えるようにしたのは前任者アバドだったが、その後のインターナショナルなトゥルネーや新しいレパートリーの開拓には目を見張るものがある。

何故かそれぞれのCDを1枚ずつジュエルケースに入れた集合体になっているため、ボックス・サイズは縦15X横30X高さ15cmと枚数の割にはかなり大きくなっている。

ブックレットには総てのジャケット写真と曲目及び録音その他のデータのみが掲載されていて、事実上ライナー・ノーツはないし、また歌詞対訳も省略されているがムーティのソニーへのコンプリート・エディションがリーズナブルな価格で手に入るのが嬉しい。

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classicalmusic at 19:15コメント(0)ムーティ  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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