2017年12月01日
アンドレ・ナヴァラ、スプラフォン・コンプリート音源5枚
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アンドレ・ナヴァラは1951年にプラハの春音楽祭で華やかなデビューを飾った後、60年代までプラハにおいて当時を代表するチェコの音楽家やチェコ・フィルなど当地のオーケストラ、アンサンブルと多くの協演をしている。
このセットに収められた5枚はナヴァラがプラハ・スプラフォンに遺した全音源で、西側の大手レコード・メーカーとの契約に恵まれなかった彼には同時代のチェリストに比較して正規録音がそれほど多くないが、実力派の彼の力量が充分に発揮された演奏集としてオールド・ファンのみならずチェロを愛する方には聴き逃せないセットだ。
仏フォンダメンタから昨年リリースされたナヴァラ協会のオフィシャル・エディションの6枚組とはカレル・アンチェル及びヨゼフ・スークと協演したCD2枚分の曲目がだぶっているが、このセットではナヴァラの室内楽への情熱とアンサンブルの腕前を堪能できるのが特徴である。
CD3の後半からCD5までがバロックから20世紀に至る作曲家のヴァイオリンとのデュエット、チェロ・ソナタやチェロのための小品に当てられている。
ヴァイオリンとのデュエット集で協演しているのがヨゼフ・スークで、CD4にコダーイ、オネゲル及びマルティヌーによる4曲が纏められているが、これらは数年前に同スプラフォンからリリースされたスーク早期レコーディング集にも収録されていた名演になる。
いずれの作品も録音が少なく、またコンサートでも滅多に採り上げられないが、オーケストラを髣髴とさせるような豊かなダイナミズムだけでなく音楽的にも特有の深みを持っている。
ソナタ集ではチェコのピアニスト、ホレチェクの伴奏でのブラームス、プロコフィエフ、ベートーヴェンが素朴ながらストレートで豪快な奏法で如何にもナヴァラらしい。
またやや音質は劣るがケー=デルヴロワ、ボッケリーニ及びラヴェルはナヴァラの数少ない室内楽録音のサンプルで、ピアノはパネンカやハーラの師でもあったフランティシェク・マクシアーンの貴重なサポートで聴くことができる。
カレル・アンチェル、チェコ・フィルとのブラームスの二重協奏曲には彼らの典型的な演奏スタイルが表れている。
スーク、ナヴァラのしなやかだが鋼のようなデュエットにアンチェルの気迫のこもったスケールの大きな演奏が聴きどころで幸い良好なステレオ録音で遺されている。
アンチェルはソヴィエトのプラハへの軍事介入に抵抗して68年にカナダに亡命し、チェコ・フィルの音楽監督も辞任してしまうので、その意味でも貴重な録音に違いない。
アンチェルとはシューマン、ブロッホ、レスピーギ及びプロコフィエフでもパッショネイトな演奏を繰り広げているが、特にブロッホの『シェロモ』では多彩なオーケストレーションがアンチェルによって絶妙に引き出されている。
総てオリジナル音源からのリマスタリングで、仏フォンダメンタに比較して音量ボリュームはやや低いが音質は柔らかく繊細に仕上げられている。
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